前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和47年版 犯罪白書 第三編/第一章/六/2 

2 処遇の概要

(一) 職業訓練および刑務作業

 少年刑務所において職業訓練を受けている訓練生の人員と種目は,III-93表のとおりである。人員数の多いものからあげると,理容,電工,溶接,自動車整備,左官などの順となっている。所内で職業訓練を修了した者は,職業訓練法,理容師法その他法令に基づいた公式の技能検定をはじめ各種の試験を受けることができ,その合格者は,公認された職業上の資格,免許を取得することができる。昭和四六年度中に各種の資格,免許を取得した人員はIII-94表に示すとおりである。

III-93表 少年刑務所における職業訓練種目と人員(昭和47年7月1日現在)

III-94表 少年刑務所における職業訓練による各種資格および免許取得人員(昭和46年度)

 職業訓練を受けない者には,一般の刑務作業を行なわせるが,この場合でも,できる限り,需要の多い有用作業が選定され,かつ,受刑者職業訓練規則の趣旨に基づいた指導が行なわれている。
 昭和四七年五月末日現在,刑務作業に就業している受刑者を業種別にみるとIII-95表に示すとおりで,金属,印刷,木工などに就業している者が多い。

III-95表 少年刑務所における刑務作業別人員(昭和47年5月31日現在)

(二) 教科教育

 義務教育未修了者その他学力の低い者に対しては,教科教育が重点的に実施されている。義務教育未修了者に対して所定の教科教育を修了させた場合,少年院のように,修了証明書を発行できる制度はないが,松本少年刑務所では,昭和三〇年四月以降,刑務所内に松本市立中学校の分校を設け,所定の課程の修了者には,本校の校長から修了証明書が交付されている。
 なお,公費または私費による通信教育が,昭和二五年以降活用されているが,四六年中には,III-96表のとおり,公費生五五人,私費生六五人が通信教育を終了し,所定の資格を取得している。

III-96表 通信教育終了による資格取得人員(昭和46年度)

(三) 生活指導

 少年受刑者の処遇は,成人受刑者の処遇に比べて,より教育的,保護的であることを特色とし,職業訓練,教科教育などのほか生活指導が重視されている。生活指導の具体的な内容としては,入所時におけるオリエンテーションのための教育,規律的な生活訓練,カウンセリング活動や篤志面接委員による面接指導,体育祭などの各種の行事,余暇時間を利用した各種クラブ活動などが計画的に実施されている。