昭和四六年に，少年院に新たに収容された少年は，三，二九〇人(男子三，〇三一人，女子二五九人)で，前年に比較し総数において六七五人(男子六二七人，女子四八人)減少している。四四年以降の新収容者を少年院の種類別にみると，III-74表のとおり，毎年減少している。

III-74表　新収容者の少年院種類別人員(昭和44〜46年)

　次に年末在院者についてみると，III-75表に示すとおり，昭和四六年末では，総数四，〇四八人(男子三，七〇八人，女子三四〇人)で，前年同期と比較すると，総数において八一二人の減少となっている。少年院の種類別にみると，中等少年院および特別少年院の在院者の減少(前者において五四〇人，後者において一五七人の減少)がその大部分をなしている。四四年以降，種類別在院者の構成比をみると，初等少年院および中等少年院の在院者の占める比率がそれぞれ増加の傾向を示し，特別少年院在院者のそれが減少傾向を示している。

III-75表　在院者の少年院種類別人員(昭和44〜46年各12月31日現在)

　新収容者について年齢別構成比をみたものがIII-76表である。昭和四六年においては，一九歳(総数の三一・二％)のものの占める比率が最も高く，ついで一八歳(総数の二五・五％)，一七歳(総数の二一・六％)の順となっている。

III-76表　新収容者の年齢別構成比(昭和44〜46年)

　次にIII-77表によって，新収容者の行為別人員をみると，昭和四六年においては，例年のとおり，窃盗が最も多く，一，六二六人で，新収容者総数の四九・四％を占め，次いで強姦・わいせつ四一三人，一二・六％，虞犯二九六人，九・〇％，恐喝二五三人，七・七％の順となっている。最近三年間の推移でみると，これらの順位に変化はみられないが，構成比からみると，強姦・わいせつは増加し，窃盗が減少の傾向を示している。

III-77表　新収容者の行為別構成比(昭和44〜46年)

　最近三年間の新収容者について，家庭裁判所の保護処分歴のある者と，とくに少年院再入者の人員ならびに新収容者中の割合を示したものが，III-78表である。昭和四六年においては，新収容者総数の七六・八％，二，五二七人が保護処分歴をもつ者であり，一六・七％，五五一人が少年院に再入した者である。それらを年齢段階別にみると，例年のとおり年長少年ほど高率となっている。最近三年間の推移をみると，保護処分歴のある者は少年院再入者を含み，実数において一貫して減少を続けている。構成比における動きをみると，保護処分歴のある者全体としては，四五・四六年間に著変はみられないが年齢段階別にこれをみると，年少少年の比率が増加し，中間少年のそれが減少している。また，再入者についてこれをみると，年少少年，中間少年の比率がそれぞれ減少傾向を示し，全体としても減少傾向を示している。

III-78表　新収容者の保護処分歴(昭和44〜46年)

　次に，新収容者のうち，初めて少年院に収容された者について，家庭裁判所における処分歴のある者の人員および構成比をIII-79表によってみると，昭和四六年においては，初めて少年院に収容された者二，七三九人のうち，審判不開始・不処分を受けた者一，二三五人(初入院者中の四五・一％)，保護観察に付された者一，三〇五人(同四七・六％)，教護院・養護施設送致決定を受けた者二四四人(同八・九％)となっている。これらの処分歴を総括して，すでに家庭裁判所において何らかの処分を受けた者は，一，九七六人で，初入院者の七二・一％となっている。

III-79表　初入院者の保護処分歴(昭和44〜46年)

　新収容者の教育歴をみると，III-80表のとおりである。昭和四六年においては，新収容者の六七・七％にあたる二，二二八人は中学卒業者である。これに対し，不就学七人を含み，義務教育未修了者は，二九九人，九・一％となっている。他方，高校および大学の在学・中退・卒業等の者は七六三人，二三・二％となっている。最近三年間のこれらの推移をみると，中学卒業者は実数の上で減少していてるが，なお約七〇％を占め，高校および大学の在学・中退・卒業者群は構成比の上で増加を続けているのに対し，義務教育未修了者については，実数，構成比ともに減少傾向を示している。

III-80表　新収容者の教育歴別人員(昭和44〜46年)

　新収容者の非行時の職業は，III-81表のとおりである。例年のとおり，約半数(総数の五一・二％)は無職者であり，有職者では，技能工・生産工程従事者(総数の一八・三％)，サービス業従事者(同七・七％)，単純労働者(同七・六％)がおもなものであり，学生生徒は総数の八・四％となっている。なお，最近三年間の，各年次総数に対する構成比の推移をみると，技能工・生産工程従事者とともに，サービス業従事者がわずかながら漸増傾向を示している。

III-81表　新収容者の非行時の職業別人員(昭和44〜46年)

　次に，新収容者の知能指数分布をみると，III-82表に示すとおりで，例年のとおり，知能指数の分布は低い方にかたよっており，とくに女子において著しい。

III-82表　新収容者の性別知能指数(昭和46年)

　昭和四六年の新収容者の精神診断状況は，III-83表に示すとおりである。例年のとおり，準正常者が総数の八四・一％を占め，次いで精神薄弱者九・六％(男子二八一人，女子三四人)，精神病質者四・一％(男子一二一人，女子一四人)の順となり，正常と診断された者は〇・二％(男子六人，女子二人)にすぎない。

III-83表　新収容者の性別精神診断状況(昭和46年)

　昭和四六年における少年院出院者総数は，四，〇三三人(男子三，七〇四人，女子三二九人)で，うち退院は一，一五四人，仮退院は二，八七九人であり，その平均在院日数は，退院者のそれが三九二日，仮退院者のそれが四五一日となっている。III-84表は，少年院の種類別に退院者・仮退院者の人員それぞれにおける平均在院日数を四四年以降について示したものである。

III-84表　少年院種類別の出院者人員と平均在院日数(昭和44〜46年)