昭和四六年に，検察庁で既済となった刑法犯と特別法犯(道交違反を除く。)の被疑者を，年齢別に，男女に分けてみると，I-44表のとおりである。これによると，男女の合計中に占める女子の割合は，総数において七・九％となっているが，女子は男子に比べ，三〇歳未満にあってはその割合が低く，三〇歳以上は，年齢の高くなるに従って女子の占める割合が高くなっている。

I-44表　被疑者の検察庁受理時の年齢層別・男女別人員(昭和46年)

　次に，昭和四六年に，検察庁で起訴または起訴猶予となった刑法犯(準刑法犯を含む。)の被疑者を，初犯者と，罰金以上の前科のある者とに分けて，男女別にみると，男子の場合には，初犯者が六三・九％を占めるにすぎないが，女子にあってはその八九・八％を初犯者が占めている。
　次に，昭和四六年に検察庁で既済となった事件の被疑者を，主要罪名について，男女別人員と男女の合計中に占める女子の比率についてみると，刑法犯(準刑法犯を含む。)については，I-45表，特別法犯についてはI-46表のとおりである。なお，刑法犯の場合には，実数のきわめて少ない罪名が含まれることとなるため，女子の比率については，参考までに，昭和四二年から四六年までの平均値をも掲げることにした。まず刑法犯についてみると，絶対数では，業務上(重)過失致死傷，次いで窃盗が圧倒的多数を占めている。女子の占める比率では，子供の出産や養育に関連すると考えられる嬰児殺，遺棄，過失致死傷などの割合がきわめて高く，失火，自殺関与もこれらに続いて高率である。これに対して，暴行，傷害，恐喝などの暴力的な犯罪の割合は著しく少ないが，これは，当然のことながら，いずれも，女子の身体的，心理的特性を表わすものとみられる。なお，女子の殺人と尊属殺も比較的高率である。その手段としては，女子は薬物を使用したり，睡眠中の機会を利用することが多い。

I-45表　刑法犯被疑者の主要罪名別・男女別人員と女子の占める比率

I-46表　特別法犯被疑者の主要罪名別・男女別人員と女子の占める比率(昭和46年)

　これらの殺人罪と，同じく女子の割合が高い放火などの動機には，人間関係のもつれにからむしっと，えん恨，憎悪などによる事例が多くみられる。
　特別法犯についてみると，女子の占める比率は，売春防止法違反において著しく高く，七八・三％に達しているほか，風俗営業等取締法，あへん法の各違反においても，五割をこえている。