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 昭和45年版 犯罪白書 第三編/第二章/一/1 

第二章 学生による集団暴力犯罪

一 概況

1 集団暴力犯罪発生の状況

 一部の学生を中心とする過激な集団暴力事件は,昭和四二年一〇月のいわゆる第一次羽田事件以来,学園の内外を問わず,全国各地にひん発したところであるが,その数は,昭和四三年から四四年に入って,著しい増加を示している。
 III-113表は,この種事件により検挙された者の数をみたものであるが,昭和四三年の検挙人員数が六,六〇一人であったのに対し,同四四年には,その二倍以上にあたる一四,七四八人に増加し,両年とも,その八割以上が学生によって占められている。次に,昭和四四年の検挙人員を,都道府県別にみると,III-114表のとおりで,東京都において検挙されたものが,総数の六五・〇%を占めて圧倒的に多く,京都,大阪,北海道がこれに次いでいる。これを,検挙された場所別にみると,検挙人員総数の七五・二%にあたる一一,〇八七人が,学園の外において検挙され,残りの三,六六一人が,学園内での検挙となっている。また,男女別にみると,男子九二・八%(一三,六九四人),女子七・二%(一,〇五四人)の割合である(警察庁警備局の資料による。)。

III-113表 集団事件による検挙人員(昭和43,44年)

III-114表 都道府県別検挙人員(昭和44年)

 次に,昭和四四年の検挙人員一四,七四八人のうち,その約八五%にあたる一二,五二四人が学生であるが,さらにこれを,学校の種類別にみると,III-115表のとおりである。これによると,学生の八二・四%にあたる一〇,五四五人が,短期大学を含む大学生であるが,高等学校生も六五八人と,必ずしもその数が少なくないだけでなく,その在籍する学校数が,三〇〇校をこえる広い範囲に及んでいることが注目されよう。

III-115表 学生の学校種類別検挙人員(昭和44年)