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 昭和44年版 犯罪白書 第二編/第四章/四/2 

2 収容状況

 現行少年法が昭和二四年から施行され,犯罪を犯した少年が,保護処分として少年院に収容されることが増加するにつれ,少年受刑者は減少の傾向をたどり,昭和二六年には,少年の年齢の上限が,一八歳から二〇歳に引きあげられたにもかかわらず,少年受刑者の数は大幅に減少するに至った。すなわちII-213表によると,少年受刑者は,昭和二五年ごろまで多数収容されていたが,その後減少していることは明らかである。昭和四一年からは,やや増加しており,昭和四三年末現在における少年受刑者数は,一,六〇六人(うち女子二人)であって,前年に比し,一三三人の増加である。

II-213表 少年受刑者の年末人員(昭和20,25,30,35,39〜43年)

 次に新受刑者についてみると,二〇歳未満の新受刑者総数は,昭和二六年の三,一一九人を頂点として,全体的には減少傾向をたどり,昭和四三年は,七五三人である。
 罪名については,II-214表のとおり,窃盗が二七・四%で最も多く,強姦二二・七%,強盗一五・三%,業務上過失致死傷一〇・八%,傷害・暴行九・七%,殺人六・二%がこれに次いでいる。年末現在少年受刑者の罪名別人員を成人のそれと対比すると,II-215表のとおり,少年受刑者は,成人と比べ,例年のとおり強姦・強盗の占める割合がきわめて高い反面,窃盗・詐欺・横領の占める割合が低くなっている。

II-214表 20歳未満新受刑者の罪名別人員(昭和41〜43年)

II-215表 成人および少年受刑者の罪名別人員(昭和43年12月31日現在)

 二〇歳未満の新受刑者の刑名・刑期については,II-216表によると,懲役刑では,一年をこえ二年以下が最も多く二九・八%を占め,三年をこえ五年以下が二四・一%,二年をこえ三年以下が二〇・七%の順となっている。禁錮刑では,六月をこえ一年以下が五九・七%で圧倒的に多くなっている。同表について,最近三年間の動きをみると,年次によって著しい変化はない。

II-216表 20歳未満新受刑者の刑名・刑期別人員(昭和41〜43年)

 次に,少年新受刑者の犯歴についてみると,II-217表のとおり,全体の九八・八%が初入者で,二度目の者は,わずかに一・二%にすぎないが,成人受刑者の初入者が四五・六%であるのと比較し,大きな差異を示している。しかし,II-218表によれば,初入者のうちの半数が,保護処分歴をもっており,少年院経験者が四三・六%も占めていることは,注目する必要がある。

II-217表 少年新受刑者の入所度数別人員(昭和43年)

II-218表 少年新受刑者中初入者の保護処分歴別人員(昭和41〜43年)

 さらに,少年新受刑者八六〇人(うち女子一人)について,矯正統計年報(資料)によれば,犯罪時の職業については,無職者(学生・生徒を含む)の占める比率は,四四・二%で,成人のそれの比率三四・五%より高くなっており,義務教育未修了者は,八%強で,暴力組織加入者は,一二・五%となっている。