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 昭和44年版 犯罪白書 第二編/第四章/四/1 

四 少年受刑者の処遇

1 概説

 少年受刑者は,心身の被影響性および教育可能性が大きいことなどから,成人と分離し,それから受ける悪影響の防止を図り,かつ矯正教育上特別な処遇を行なう必要があるので,少年法は,懲役または禁錮の言渡しをうけた一六歳以上二〇歳未満の少年に対しては,特に設けた少年刑務所または一般刑務所内の特に分界を設けた場所(少年区)で,刑を執行することを規定した。少年法のこの規定に対応して,監獄法は,少年受刑者の収容場所の特設主義を掲げているほか,少年受刑者に対しては,とくに教養訓練に重きをおいた特別の措置をとるべきことを規定している。このような見地から,少年受刑者が二〇歳に達したとき,直ちに,これを成人刑務所に移すことは,少年受刑者としての処遇効果を害するおそれがあるので,その心身の状況などにより,少年刑務所での処遇を適当と認めた場合は,最高二六歳に達するまで,執行を継続することができることになっている。
 少年受刑者を収容する刑務所は,前述したとおり,現在全国に川越・水戸・松本・奈良・姫路・岩国・佐賀・盛岡・函館の九施設である。これはいずれも男子少年のものである。
 女子の少年受刑者は女子刑務所内のとくに分界された場所に収容されている。ただ後述するとおり,少年受刑者数が減少したため,現在では水戸および姫路少年刑務所では,少年受刑者は収容していないし,他の少年刑務所では,若年成人をも収容している。