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 昭和44年版 犯罪白書 第二編/第四章/二/5 

5 出所少年の状況

 収容少年について,最近五年間の家庭裁判所における審判決定別の状況についてみたのが,II-192表である。昭和四三年では,在宅保護に相当する保護観察が三一・一%で,例年どおり最も多い。他方,収容保護についてみると,少年院送致は,初等少年院一・五%,中等少年院一二・二%,特別少年院三・四%,医療少年院一・四%で,いずれも前年に比べ,実人員,比率ともに減少しており,教護院など児童福祉施設への送致は,一%にも達していない。検察官送致も,昭和四二年は七%に増加したが,四三年には,また六・二%に減少している。これに対して,審判不開始,不処分,および中間処分である試験観察は,実人員で減少しているが,比率では,僅かに増加している。また,鑑別判定と審判決定との一致度は,昭和四三年で約六八%となっている。

II-192表 審判決定別人員(昭和39〜43年)

 以上のような鑑別終了後の審判決定により,あるいは,鑑別未了のままの決定や事故により,少年鑑別所を出所した者の数は,II-193表のとおりである。出所の事由としては,保護処分の決定が半数近くの四五・七%を占め,次いで,試験観察処分が一八・一%となっているが,その比率は,前年と比較して目だった動きはない。ただ,移送による出所は,一〇・二%で,はじめて総数の一割をこえ,ここにも,交通機関の発達などにともなう,少年の広域非行の実態が反映している。

II-193表 少年鑑別所出所状況(昭和39〜43年)