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1 概説 特別法犯については,前述したように,検挙件数および検挙人員数を示す警察統計がないので,ここでは,検察統計に示された検察庁の新規受理人員数によって,特別法犯の傾向をみることとする。
昭和四三年における特別法犯の検察庁新規受理人員数を,前年と対比しながら,その概要をみると,I-31表のとおりである。 I-31表 特別法犯の検察庁新規受理人員(昭和42,43年) これによると,昭和四三年の道交違反を除く特別法犯の受理人員は,二〇六,〇七〇人で,前年より約三万七千人減少しており,道交違反は,二,八二三,一六三人で,これも前年より約一七五万人減少している。このように,道交違反が大幅に減少したのは,前に述べたとおり,交通反則通告制度の実施によるものである。特別法犯では,自動車損害賠償保障法違反および自動車の保管場所の確保等に関する法律違反が,前年に引続き増加しており,とくに自動車の保管場所の確保等に関する法律違反は三万人を越え,特別法犯総数の約一七%に達した。次に,実数はわずかであるが,競馬法違反とあへん法違反,大麻取締法違反が増加の傾向を示しているので,今後の動きをみる必要があろう。逆に,前年に比べて減少の著しいのは,公職選挙法違反,酒税法違反,麻薬取締法違反,食糧管理法違反等で,これらは,五割前後の減少をみせているが,公職選挙法違反については,昭和四二年には,衆議院議員総選挙および統一地方選挙が行なわれたのに対し,昭和四三年には,全国的な選挙としては,参議院議員通常選挙のみが行なわれたことによるものである。次に,昭和四三年を中心として最近における特別法犯の動きを,保安関係,財政経済関係,麻薬・覚せい剤関係,風俗関係に分けて,詳しくみることとする。なお,交通犯罪,選挙犯罪,外国人犯罪については,章を改めて検討するので,ここでは省略する。 |