ここで財産犯罪というのは，窃盗，詐欺，横領，賍物および背任である。ところで，昭和三三年および昭和三九年から四三年までの五年間の財産犯罪の発生件数の推移は，I-12表のとおりで，窃盗は，昭和四二年までは，逐年減少の傾向を続けていたが，昭和四三年は，前年より増加している。詐欺は，昭和四〇年に，一時増加したのを除き，累年減少の傾向を示している。横領と賍物は，減少の傾向が著しく，昭和三九年を一〇〇とする昭和四三年の指数をみると，横領は五八，賍物は四四と，大幅に減少しているのが注目される。背任は，その実数が少なく，この数字によって傾向をみることは困難であるが，昭和四一年に，一度増加したものの，四二年には，大幅に減少し，四三年には，再び，やや増加している。

I-12表　財産犯罪発生件数(昭和33,39〜43年)

　検挙人員の推移は，I-13表のとおりであるが，窃盗，詐欺，横領，賍物は，いずれも，逐年減少傾向を示している。背任は，発生件数の推移に応じた傾向を示している。

I-13表　財産犯罪検挙人員(昭和33,39〜43年)

　昭和四三年における財産犯罪は，発生件数において，窃盗，背任，検挙人員において，背任で増加したほかは，発生件数においても，検挙人員においても，前年より減少を示しており，また，この一〇年間の推移をみても，財産犯罪は，一般的に，減少の傾向にあるということができよう。