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5 犯罪少年の行為の質(罪種) すでに述べたように,一四才以上の少年人口の全有責人口に対する構成比率は一七・一パーセントなのに,少年刑法犯(一四才以上)の全刑法犯に対する構成比率は二二・八パーセントにものぼっており,これは,犯罪発生の頻度が成人人口よりも少年人口においていちじるしく高いことを意味する。ところで,その質はどうであろうか。
IV-5表は,昭和三三年における各主要罪種別の少年刑法犯の全刑法に対する構成比率をみたものであり,これによれば,少年犯罪者の頻度は,人身に対する暴力的攻撃を要素とするいくつかの罪種(強姦,強盗,暴行,傷害,脅迫,恐喝)と窃盗罪および性犯罪(強姦,猥褻)とにおいては,平均値を上回っていることがわかる。ことに,全強姦犯人の半数以上(五四パーセント)が少年であることは,おどろくべき事実であるといわねばならない。これに反し,殺人,横領,詐欺などは,むしろ,成人において頻度が高く,とくに,横領や詐欺は少年犯罪になじまない罪種であるといえる。 IV-5表 罪種別少年刑法犯検挙人員と全刑法犯検挙人員に対する率(昭和33年) これらの罪種について,最近七ヵ年の趨勢を比較すると(付録統計表-47参照),強姦,恐喝,暴行など人身に対する暴力的攻撃を要素とする犯罪において,少年犯罪の増加がいちじるしい。さらに,罪種別に,戦前の昭和一六年と戦後の昭和三三年とを比較してみよう。すでに述べたように,全刑法犯を通じて,昭和三三年における少年刑法犯検挙数は,昭和一六年の約三倍であるが,どの面に,とくに増加があらわれているのであろうか。IV-6表は,各罪種別に昭和三三年と昭和一六年とを比較したもので(統計資料の関係から,いずれも,触法少年を含んでいる),これによれば,やはり,強姦,暴行,傷害,脅迫,恐喝,殺人のように,人身に対する暴力的攻撃を要素とする攻撃的犯罪や性犯罪において,平均増加率(二・九五倍)を上回っている。とくに,少年による強姦や粗暴犯(暴行,傷害,脅迫,恐喝)が約一〇倍以上に達しているのは,おどろくべきことといわねばならない。 IV-6表 罪種別少年刑法犯検挙人員とその指数(昭和16,33年) 以上の考察によって,強姦や,暴行や恐喝のような暴力的要素を含んだ罪種について少年犯罪の急激な増加がみられることがわかったが,このような増加が少年(一四才以上二〇才未満)のどの年齢層にもっとも多くあらわれているかを罪種別に検討してみよう。IV-7表は,強姦罪につき,少年の各年齢層において犯罪の急激な増加がみられるかどうかを五年間にわたって考察したもので,これによれば,いわゆるローティーン(年少少年)における強姦罪の急増がいちじるしい(五年間に二倍半に達した。IV-2図参照)。 IV-7表 強姦罪の年齢別少年検挙者数と対人口比率等(昭和29〜33年) IV-2図 強姦罪の年齢別少年検挙者数の指数 IV-8表は,暴行罪についての表で,ここでも,強姦の場合とおなじく,ローティーンによる犯罪の増加が目だっているし(IV-3図参照),恐喝罪についてのIV-9表も,同様である(IV-4図参照)。IV-8表 暴行罪の年齢別少年検挙者数と対人口比率等(昭和29〜33年) IV-3図 暴行罪の年齢別少年検挙者数の指数 IV-9表 恐喝罪の年齢別少年検挙者数と対人口比率等(昭和29〜33年) IV-4図 恐喝罪の年齢別少年検挙者数の指数 |