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令和5年版 犯罪白書 第7編/第5章/第3節/コラム10

コラム10 年齢層の違いによる比較

令和4年版犯罪白書では、第8編第4章において、犯罪者・非行少年の生活意識と価値観に関する特別調査の結果を紹介した。同調査では、非行少年(少年鑑別所入所者、保護観察処分少年及び少年院仮退院者)において、犯罪者(刑事施設入所者、仮釈放者及び保護観察付全部・一部執行猶予者)よりも、家庭生活及び友人関係に対する満足度が高かったことや、悩みを打ち明けられる人として「同性の友人」や「母親」を挙げた者の割合が高かったことなど、総じて非行少年が家庭生活や周囲との関係について肯定的に評価していることが明らかになった。

一方、令和4年4月、少年法等の一部を改正する法律(令和3年法律第47号)が施行され、18歳以上の少年が「特定少年」と呼称されることとなり、保護処分について特例が定められるなど、非行少年の処遇において大きな変化が見られた。このことを踏まえ、同調査の非行少年の結果について、前記「特定少年」に相当する18歳以上の年齢層と18歳未満の年齢層とを比較すると、大きな違いは見られなかった。

同調査が生活意識・価値観という主観的な側面から調査したものであるのに対し、今回の特別調査は、生育環境という客観的な側面から実態を調査している。そこで、年齢層による違いが見られるかを分析するため、今回の特別調査の対象者を「18歳以上」と「18歳未満」とに分け、日常の過ごし方や他者との関わり方について比較を行ったところ、いくつかの項目で明らかな違いが見られた。このコラムでは、その結果について紹介する。

なお、18歳以上は506人(少年院在院者332人、保護観察処分少年174人)、18歳未満は359人(少年院在院者259人、保護観察処分少年100人)であった。

1 日常の過ごし方

日常の過ごし方について年齢層別に見ると、スマートフォンの使用に関連する項目に違いが見られた。

「ゲームをする」では、いずれの年齢層においても「毎日2時間以上」が最も高い構成比を占めていたが、18歳以上では32.9%であったのに対し、18歳未満では46.3%であり、18歳未満の方がより構成比が高かった。一方、「全然しない」が、18歳以上では25.7%であったのに対し、18歳未満では16.0%であり、18歳以上における構成比が高かった。

「スマートフォン、携帯電話でメールやLINEをする」では、「毎日1~2時間」が、18歳以上では20.1%であったのに対し、18歳未満では14.1%であり、18歳以上における構成比が高かった。ただし、いずれの年齢層においても「毎日2時間以上」が最も高い構成比を占めており、「毎日1~2時間」と「毎日2時間以上」を合計した構成比を比較すると、18歳以上では83.1%、18歳未満では82.8%であり、両者に大きな違いは見られなかった。

2 他者との関わり方

他者との関わり方(本章第2節4項の*1参照)について年齢層別に見ると、「母親」、「兄弟など親以外の親族」、「学校で出会った友人」及び「インターネット上における人やコミュニティ」において、いくつかの項目で違いが見られた。

「母親」に対する「強いつながりを感じている」の該当率は、18歳以上では77.4%であったのに対し、18歳未満では69.5%であり、18歳以上における該当率が高かった。

「兄弟など親以外の親族」に対する「何でも悩みを相談できる」の該当率は、18歳以上では46.4%であったのに対し、18歳未満では54.4%であり、18歳未満における該当率が高かった。

「学校で出会った友人」に対する「強いつながりを感じている」の該当率は、18歳以上では77.2%であったのに対し、18歳未満では70.4%であり、18歳以上における該当率が高かった。

「インターネット上における人やコミュニティ」に対する「会話やメールなどをよくしている」の該当率は、18歳以上では44.7%であったのに対し、18歳未満では57.0%であり、「楽しく話せるときがある」の該当率は、18歳以上では53.8%であったのに対し、18歳未満では64.0%であり、いずれも18歳未満における該当率が高かった。

3 年齢層の違いによる比較の結果から

年齢層の違いによる比較の結果からは、18歳以上と18歳未満とで、一部に異なる傾向が見られることが明らかとなった。

日常の過ごし方では、いずれの年齢層においても、ゲームのため、あるいはメールやLINEといったコミュニケーションツールとして、スマートフォン等の使用に長時間を充てていることが明らかとなったが、18歳未満では18歳以上よりもゲームで使用することが多く、両者の間には使用の仕方に違いがあることが推察された。他者との関わり方では、18歳以上は母親や学校の友人とのつながりをより強く感じ、18歳未満では兄弟やインターネット上での交流により親しみを感じていることが推察された。

我が国において、18・19歳という年齢層に関し、民法や少年法上の位置付けが大きく変化しているところ、非行少年の処遇については、このような年齢層の違いを踏まえた指導や支援も重要となるだろう。