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令和元年版 犯罪白書 第4編/第8章/第2節/3

3 保護観察

高齢の仮釈放者及び保護観察付全部・一部執行猶予者について,保護観察開始人員及び高齢者率の推移(平成元年以降)を見ると,4-8-2-6図のとおりである。

仮釈放者では,平成2年以降,高齢者の保護観察開始人員・高齢者率は増加・上昇傾向にあり,30年はいずれも前年より若干減少しているものの,30年の高齢者の保護観察開始人員は,元年と比べ,約7.9倍に増加している。特に,70歳以上の人員は,約12.5倍と増加が著しい。

保護観察付全部・一部執行猶予者でも,平成2年以降,高齢者の保護観察開始人員・高齢者率は増減を繰り返しながらも増加・上昇し続けているが,30年の高齢者の保護観察開始人員は,元年と比べ,約7.5倍に増加している。特に,70歳以上の人員は,約15.2倍と増加が顕著で,23年以降,70歳以上の人員が65~69歳の人員を上回っている。

4-8-2-6図 高齢者の保護観察開始人員・高齢者率の推移
4-8-2-6図 高齢者の保護観察開始人員・高齢者率の推移
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4-8-2-7図は,仮釈放者及び保護観察付全部・一部執行猶予者について,保護観察開始人員の人口比の推移(平成元年以降)を年齢層別に見たものである。

仮釈放者では,保護観察開始人員総数の人口比は,65~69歳については平成2年以降,70歳以上については3年以降,緩やかな上昇傾向にあったが,65~69歳については26年を,70歳以上については27年を,それぞれピークとして,ここ3~4年は緩やかな低下傾向にある。

保護観察付全部・一部執行猶予者では,65~69歳の保護観察開始人員総数の人口比は,平成2年以降,17年をピークとする緩やかな上昇傾向にあったが,18年以降は緩やかな低下傾向にある。70歳以上の人員総数の人口比は,元年以降,26年まで緩やかな上昇傾向にあったが,それ以降は,おおむね横ばいの状況にある。

4-8-2-7図 保護観察開始人員の年齢層別人口比の推移
4-8-2-7図 保護観察開始人員の年齢層別人口比の推移
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4-8-2-8図は,出所受刑者の仮釈放率の推移(年齢層別の数値を入手し得た平成10年以降)を年齢層別に見たものである。

仮釈放による高齢出所受刑者人員総数は,平成11年以降,増加傾向にある一方,満期釈放等による高齢出所受刑者人員総数は,22年まで一貫して増加した後,減少傾向にあり,これらを受けて,22年に28.3%まで低下した高齢出所受刑者の仮釈放率は,26年には40.1%に上昇し,27年以降はおおむね横ばいとなっている(CD-ROM参照)。また,高齢出所受刑者の仮釈放率は,出所受刑者全体の仮釈放率と比べ,一貫して20pt前後低く推移している(出所受刑者全体の仮釈放率については,3-1-5-1図CD-ROM参照)。

女性の高齢出所受刑者の仮釈放率は,人員が少なかった平成15年頃までは年による変動が大きいが,16年以降は若干の増減を経つつおおむね60%前後で推移しており,高齢出所受刑者人員総数の仮釈放率と比べ,一貫して高い。

4-8-2-8図 出所受刑者の年齢層別仮釈放率の推移(総数・女性別)
4-8-2-8図 出所受刑者の年齢層別仮釈放率の推移(総数・女性別)
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