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令和元年版 犯罪白書 第4編/第4章/第2節

第2節 経済犯罪

強制執行妨害(刑法96条の2,96条の3及び96条の4に規定する罪をいい,平成23年法律第74号による改正前の同法96条の2に規定する罪を含む。),公契約関係競売入札妨害談合破産法(平成16年法律第75号による廃止前の大正11年法律第71号を含む。)違反及び入札談合等関与行為防止法違反について,平成元年以降の検察庁新規受理人員の推移を見ると,4-4-2-1図のとおりである。「公契約関係競売入札妨害及び談合」は,3年から9年にかけて急増し,10年から17年までおおむね300人前後で推移したのを経て,18年(584人)に急増したが,19年以降大きく減少し,30年は51人(前年比4人増)であった。「公契約関係競売入札妨害及び談合」の内数である談合については,19年の239人が最多であった。強制執行妨害は,16年(60人)をピークに,50人以下で推移している。

4-4-2-1図 強制執行妨害等 検察庁新規受理人員の推移
4-4-2-1図 強制執行妨害等 検察庁新規受理人員の推移
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会社法商法独占禁止法及び金融商品取引法(平成19年9月30日前の題名は「証券取引法」)の各違反について,元年以降の検察庁新規受理人員の推移を見ると,4-4-2-2図のとおりである。会社法・商法違反では10年の162人,独占禁止法違反では7年の291人,金融商品取引法違反では24年の137人が,それぞれ平成期において最多であった。

4-4-2-2図 会社法・商法違反等 検察庁新規受理人員の推移
4-4-2-2図 会社法・商法違反等 検察庁新規受理人員の推移
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平成元年度以降の公正取引委員会及び証券取引等監視委員会による告発の件数・人員の推移は,4-4-2-3表のとおりである。私的独占,カルテル等の重大な独占禁止法違反の罪については,公正取引委員会の告発が訴訟条件とされる。公正取引委員会は,2年に「独占禁止法違反に対する刑事告発に関する公正取引員会の方針」を,17年に「独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」をそれぞれ公表し,国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案等については,積極的に刑事処罰を求めて告発を行う方針を明らかにした。元年度から30年度までの間において,公正取引委員会による告発は,合計17件・307人(法人を含む。)であった。

平成4年に新設された証券取引等監視委員会は,取引の公正を害するものとして政令で規定された金融商品取引法違反行為等の犯則事件について,調査・告発を行う権限を有している。同年度から30年度までの間において,証券取引等監視委員会による告発は,合計200件・560人(法人を含む。以下同じ。)であった。なお,30年度の内訳は,「インサイダー取引」5件・7人,「虚偽有価証券報告書等提出」3件・10人であった(証券取引等監視委員会の資料による。)。

4-4-2-3表 公正取引委員会・証券取引等監視委員会からの告発件数・人員の推移
4-4-2-3表 公正取引委員会・証券取引等監視委員会からの告発件数・人員の推移
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出資法及び貸金業法(平成19年12月19日前の題名は「貸金業の規制等に関する法律」)の各違反について,元年以降の検察庁新規受理人員の推移を見ると,4-4-2-4図のとおりである。出資法違反及び貸金業法違反は,それぞれ15年に急増してピークを迎えたが(出資法違反は1,092人,貸金業法違反は587人),出資法違反は21年以降,貸金業法違反は20年以降,それぞれ大きく減少し,30年は,出資法違反が284人(前年比29人減),貸金業法違反が90人(同67人減)であった。

4-4-2-4図 出資法違反等 検察庁新規受理人員の推移
4-4-2-4図 出資法違反等 検察庁新規受理人員の推移
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