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令和元年版 犯罪白書 第4編/第1章/第2節/2

2 裁判

平成元年・15年・30年に交通事件により通常第一審で懲役又は禁錮を言い渡された者について,これらの罪名ごとの科刑状況を見ると,4-1-2-4表のとおりである(なお,刑法の一部改正(第1編第1章第1節4項6項及び9項参照)及び道路交通法の一部改正(同章第2節1項(1)参照)並びに自動車運転死傷処罰法の制定(同項(4)参照)に伴う法定刑の変動に留意する必要がある。)。

危険運転致死傷(平成15年は,平成16年法律第156号による改正前の刑法208条の2に規定する罪をいい,30年は,自動車運転死傷処罰法2条及び3条並びに平成25年法律第86号による改正前の刑法208条の2の罪に限る。以下この項において同じ。)事件について見ると,言渡しを受けた者のうち実刑の者の割合については,同致傷事件では,15年は25.4%,30年は9.2%(なお,30年の無免許危険運転致傷(自動車運転死傷処罰法6条1項及び2項に規定する罪)事件は50.0%)であり,危険運転致死事件では,15年は96.2%,30年は100.0%であった。危険運転致傷事件で言渡しを受けた者のうち2年以上の刑の言渡しを受けた者の割合は,15年は38.0%,30年は32.2%であり,同致死事件で言渡しを受けた者のうち5年を超える刑の言渡しを受けた者の割合は,15年は35.8%,30年は70.6%であった。

平成元年及び15年の業務上(重)過失致死傷事件並びに30年の過失運転致死傷(自動車運転死傷処罰法5条及び平成25年法律第86号による改正前の刑法211条2項に規定する罪に限る。以下この項において同じ。)事件を見ると,言渡しを受けた者のうち実刑の者の割合については,元年は,業務上(重)過失致傷事件では13.1%,同致死事件では19.8%,15年は,同致傷事件では10.4%,同致死事件では19.8%,30年は,過失運転致傷事件では1.5%,同致死事件では5.5%であった(なお,30年は,無免許過失運転致傷事件では18.1%,同致死事件では70.0%)。業務上(重)過失致死傷事件又は過失運転致死傷事件で3年を超える刑を言い渡された者は,元年にはおらず,15年は52人,30年は16人(無免許過失運転致死傷事件では5人)であった。業務上(重)過失致傷事件又は過失運転致傷事件で言渡しを受けた者のうち1年未満の刑の者の割合は,元年は54.2%,15年は33.5%,30年は33.4%であり,業務上(重)過失致死事件又は過失運転致死事件で言渡しを受けた者のうち2年未満の刑の者の割合については,元年は93.2%,15年は63.1%,30年は63.3%であった。

道交違反について見ると,言渡しを受けた者のうち実刑の者の割合については,平成元年は25.8%,15年は24.8%,30年は15.4%であった。また,言渡しを受けた者のうち1年未満の刑の者の割合は,元年は99.2%,15年は93.4%,30年は75.4%であり,6月未満の刑の者の割合は,元年は76.4%,15年は40.9%,30年は17.7%であった。道交違反で3年を超える刑の言渡しを受けた者は,元年及び15年にはいなかったが,30年には15人であった。

平成30年に交通事件で一部執行猶予付判決の言渡しを受けた者は,無免許過失運転致傷につき2人及び道路交通法違反につき3人であった(司法統計年報による。)。

なお,自動車運転死傷処罰法違反及び道交違反について,第一審での罰金・科料の科刑状況は,3-1-3-7表参照。

4-1-2-4図 交通事件 通常第一審における有罪人員(懲役・禁錮)の科刑状況
4-1-2-4図 交通事件 通常第一審における有罪人員(懲役・禁錮)の科刑状況
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