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令和元年版 犯罪白書 第4編/第1章/第2節/1

第2節 処遇
1 検察

4-1-2-1図は,平成元年・15年・30年における交通事件(過失運転致死傷等,危険運転致死傷及び道交違反の事件をいう。以下この節において同じ。)の検察庁終局処理人員の処理区分別構成比を,それ以外の事件(以下この項において「一般事件」という。)と比較して見たものである。公判請求の構成比を見ると,危険運転致死傷については,一般事件と比較して著しく高く,過失運転致死傷等及び道交違反については,一般事件と比較して著しく低い。過失運転致死傷等では不起訴の構成比が高く,道交違反では略式命令請求の構成比が高い。

4-1-2-1図 交通事件 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比
4-1-2-1図 交通事件 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比
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4-1-2-2図は,過失運転致死傷等及び道交違反の検察庁終局処理人員について,起訴・不起訴人員(処理区分別)及び起訴率の平成元年以降の推移を見たものである。過失運転致死傷等では,昭和62年以降の起訴人員の減少と起訴猶予人員の増加傾向により,平成元年に39.8%であった起訴率は8年以降15%を下回り,元年に58.1%であった起訴猶予率は8年以降85%を上回るようになった。起訴人員は11年以降増加に転じた後,14年(10万1,940人)をピークに減少し続けているが,不起訴人員も16年(77万1,509人)をピークに減少し続けていることから,24年以降,起訴率は緩やかに上昇しており,30年は11.6%(前年比0.6pt上昇)であった。道交違反では,元年から11年まで,起訴人員のほとんどを占める略式命令請求人員はおおむね90万人台前後で推移したが,12年に急減し,その後も大きく減少し続けている。一方,不起訴人員のほとんどを占める起訴猶予人員は,8年から19年まで増加し,その後減少傾向に転じているが,略式命令請求人員と比較すると,その減少幅は小さい。そのため,起訴率は,12年までは90%を超えて推移していたが,その後,大きく低下し,30年は56.9%と,平成期最高であった4年(95.5%)と比べて38.6pt低下した。起訴・不起訴人員に占める略式命令請求人員の割合も,元年から11年までは9割を超えていたが,その後は低下傾向にあり,30年は53.9%(同2.2pt低下)であった。一方,起訴猶予率は,元年には5.2%であったが,10年以降上昇傾向にあり,30年は41.5%(同1.9pt上昇)であった(CD-ROM参照)。

4-1-2-2図 過失運転致死傷等・道交違反 起訴・不起訴人員(処理区分別)等の推移
4-1-2-2図 過失運転致死傷等・道交違反 起訴・不起訴人員(処理区分別)等の推移
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平成15年・20年・25年・30年における危険運転致死傷による公判請求人員について,態様別に見ると,4-1-2-3表のとおりである。なお,30年における「無免許」の者(19人)については,無免許運転で,「飲酒等影響」(7人),「妨害行為」(1人),「赤信号無視」(8人)又は「飲酒等影響運転支障等」(3人)の各態様による危険運転致傷を犯した者である(検察統計年報による。)。危険運転致死傷罪に係る刑法の一部改正及び自動車運転死傷処罰法の制定については,第1編第1章第1節4項6項9項及び13項並びに同章第2節1項(4)参照。

4-1-2-3表 危険運転致死傷による公判請求人員(態様別)
4-1-2-3表 危険運転致死傷による公判請求人員(態様別)
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