前の項目 次の項目        目次 図表目次 年版選択

令和元年版 犯罪白書 第3編/第2章/第6節/1

第6節 少年の刑事手続
1 概要
(1)起訴と刑事裁判

検察官は,家庭裁判所から刑事処分相当として少年の事件の送致を受けた場合,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは,原則として,公訴を提起しなければならない。

起訴された少年の公判の手続は,成人の場合とほぼ同様である。ただし,裁判所は,事実審理の結果,少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは,決定で,事件を家庭裁判所に移送する。

平成12年法律第142号による少年法の改正により,少年の刑事処分可能年齢については 16歳以上から14歳以上に引き下げられた(平成13年4月1日施行)。また,少年の刑事事件に関する処分については,26年4月の少年法の改正により,不定期刑を科することとなる事件の範囲の拡大,不定期刑の長期と短期の上限の引上げ,犯行時18歳未満であったことにより無期刑をもって処断すべきところを有期刑を科する場合における刑の上限の引上げ等がなされた(同年5月8日施行)。なお,少年法の改正の詳細については,第1編第2章第2節1項参照。

少年を有期の懲役又は禁錮をもって処断すべきときは,刑の執行を猶予する場合を除き,処断すべき刑の範囲内において,長期(15年を超えることはできない。)を定めるとともに,長期の2分の1(長期が10年を下回るときは,長期から5年を減じた期間。以下この項において同じ。)を下回らない範囲内において短期(10年を超えることはできない。)を定めて,不定期刑を言い渡す。また,不定期刑の短期は,少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮し特に必要があるときは,処断すべき刑の短期の2分の1を下回らず,かつ,長期の2分の1を下回らない範囲内において,処断刑の下限を下回る期間を定めることができる。犯行時18歳未満の者には,死刑をもって処断すべきときは無期刑を科さなければならず,無期刑をもって処断すべきときであっても,有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において,その刑は,10年以上20年以下において言い渡す。

(2)刑の執行

少年の受刑者は,主として少年刑務所に収容され,成人と分離し,特に区画した場所でその刑の執行を受ける。懲役又は禁錮の言渡しを受けた16歳未満の少年に対しては,16歳に達するまでは,少年院で刑の執行をすることができる。

(3)仮釈放

少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた者については,無期刑の言渡しを受けた者は7年(ただし,犯行時18歳未満であったことにより死刑をもって処断すべきところを無期刑の言渡しを受けた者については10年),犯行時18歳未満であったことにより無期刑をもって処断すべきところを有期刑の言渡しを受けた者はその刑期の3分の1,不定期刑の言渡しを受けた者はその刑の短期の3分の1の期間をそれぞれ経過した後,仮釈放を許すことができる。