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令和元年版 犯罪白書 第3編/第1章/第4節/2

2 刑事施設の収容状況
(1)刑事施設の収容人員

刑事施設の被収容者の年末収容人員及び人口比の推移(昭和21年以降)は,3-1-4-2図のとおりである(一日平均収容人員の推移については,CD-ROM資料3-5参照)。年末収容人員は,平成期において,平成4年に4万5,082人まで減少した後,5年から増加し続け,18年に昭和31年以降で最多となる8万1,255人を記録したが,平成19年に減少に転じて以降毎年減少し,30年末現在は5万578人(前年末比5.0%減)であり,このうち,受刑者は4万4,186人(前年末比5.4%減)であった。なお,同年における刑事施設の受刑者の年末収容人員のうち,一部執行猶予受刑者は,2,296人であった(矯正統計年報による。)。

3-1-4-2図 刑事施設の年末収容人員・人口比の推移
3-1-4-2図 刑事施設の年末収容人員・人口比の推移
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(2)刑事施設の収容率

刑事施設の収容率の推移(平成元年以降)は,3-1-4-3図のとおりである。被収容者全体の収容率は,5年から14年にかけて大幅に上昇し,13年から18年まで100%を超えていたが,17年から毎年低下し続けている(CD-ROM参照)。30年末現在において,収容定員が8万8,591人(このうち既決の収容定員は7万716人)であるところ,収容人員は5万578人(前年末比2,655人減),このうち既決の人員は4万4,755人(同2,576人減),未決の人員は5,823人(同79人減)であった。収容率は全体で57.1%(前年末比2.9pt低下)であり,既決は63.3%(同3.6pt低下),未決は32.6%(同0.3pt低下)であった(女性については,4-7-2-3図参照)。

3-1-4-3図 刑事施設の収容率の推移
3-1-4-3図 刑事施設の収容率の推移
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(3)入所受刑者
ア 人員

入所受刑者の人員及び人口比の推移(昭和21年以降)は,3-1-4-4図のとおりである。その人員は,平成期において,平成4年(2万864人)を境に5年から増加し続けていたが,18年の3万3,032人をピークに19年からは毎年減少し,28年からは戦後最少となって,30年は1万8,272人(前年比5.5%減)と戦後最少を更新した(CD-ROM参照。女性については,4-7-2-4図参照)。なお,同年における入所受刑者の人員のうち,一部執行猶予受刑者は,1,537人であった(矯正統計年報による。)。

3-1-4-4図 入所受刑者の人員・人口比の推移
3-1-4-4図 入所受刑者の人員・人口比の推移
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平成元年・15年・30年における受刑者の入所事由別人員は,3-1-4-5表のとおりである。元年・15年・30年を比べると,仮釈放の取消し人員だけが一貫して減少している。

3-1-4-5表 受刑者の入所事由別人員
3-1-4-5表 受刑者の入所事由別人員
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イ 特徴

3-1-4-6図は,平成元年・15年・30年における入所受刑者の年齢層別構成比を男女別に見たものである。15年は,男女共に30歳代の構成比が最も高いが,30年は,男女共に40歳代の構成比が最も高い。元年には男女合わせて315人しかいなかった65歳以上の高齢者が30年には2,222人となるなど,入所受刑者の高齢化が進んでいる。また,女性は男性と比べ,元年・15年・30年のいずれにおいても高齢者の構成比が高く(女性入所受刑者の年齢層別構成比の推移については,4-7-2-5図参照),30年においては,高齢者のうち,70歳以上の者の占める割合も約3分の2と高い(CD-ROM参照)。

3-1-4-6図 入所受刑者の年齢層別構成比(男女別)
3-1-4-6図 入所受刑者の年齢層別構成比(男女別)
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平成元年・15年・30年における入所受刑者の罪名別構成比を男女別に見ると,3-1-4-7図のとおりである。男性では,元年は,覚せい剤取締法違反の構成比が最も高く,15年及び30年は,窃盗の構成比が最も高かったが,女性では,元年及び15年は,覚せい剤取締法違反の構成比が最も高く,30年は,男性と同じく,窃盗の構成比が最も高かった(なお,高齢入所受刑者の罪名別構成比(男女別)については,4-8-2-5図参照)。

3-1-4-7図 入所受刑者の罪名別構成比(男女別)
3-1-4-7図 入所受刑者の罪名別構成比(男女別)
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平成元年・15年・30年の入所受刑者について,刑の種類を見ると,元年は,懲役2万4,308人(98.8%),禁錮271人(1.1%),拘留25人(0.1%)であり,15年は,懲役3万1,090人(99.2%),禁錮240人(0.8%),拘留24人(0.1%)であり,30年は,懲役1万8,187人(99.5%),禁錮67人(0.4%),拘留3人であった(矯正統計年報による。)。元年・15年・30年の入所受刑者について,懲役受刑者の刑期別構成比を男女別に見ると,3-1-4-8図のとおりである。1年以下及び2年以下の占める割合について,男性の場合,15年は元年と比べて低く,30年も15年と比べてわずかに低いが,女性の場合,15年は元年と比べて低い一方,30年は15年と比べて高い(懲役受刑者の刑期別の年末収容人員の推移については,CD-ROM資料3-6参照)。

3-1-4-8図 入所受刑者(懲役)の刑期別構成比(男女別)
3-1-4-8図 入所受刑者(懲役)の刑期別構成比(男女別)
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(4)出所受刑者
ア 人員

平成元年・15年・30年における受刑者の出所事由別人員は,3-1-4-9表のとおりである。出所受刑者(27年以前は,仮釈放又は満期釈放により刑事施設を出所した者に限り,28年以降は,仮釈放又は満期釈放若しくは一部執行猶予の実刑部分の刑期終了により刑事施設を出所した者に限る。以下この項において同じ。)に占める満期釈放者等(27年以前は,満期釈放により刑事施設を出所した者をいい,28年以降は,満期釈放等により刑事施設を出所した者をいう。以下この項において同じ。)の比率は,16年までおおむね横ばいで推移した後上昇に転じたが,22年に50.9%を記録して以降,低下し続け,30年は41.5%(前年比0.5pt低下)であった(CD-ROM参照)。なお,同年における出所受刑者のうち,一部執行猶予受刑者は,1,202人であった(初めて一部執行猶予受刑者が出所した29年は362人。CD-ROM参照。)。

3-1-4-9表 受刑者の出所事由別人員
3-1-4-9表 受刑者の出所事由別人員
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イ 特徴

3-1-4-10図は,資料を入手し得た平成10年・20年・30年における出所受刑者の年齢層別構成比を出所事由別に見たものである。10年・20年・30年を比較すると,仮釈放者及び満期釈放者等(30年以外は満期釈放者。以下イにおいて同じ。)共に,高齢者の占める割合が上昇しているが,満期釈放者等は仮釈放者と比べ,10年・20年・30年共に,高齢者の占める割合が高い。

3-1-4-10図 出所受刑者の年齢層別構成比(出所事由別)
3-1-4-10図 出所受刑者の年齢層別構成比(出所事由別)
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3-1-4-11図は,平成元年・15年・30年における出所受刑者の帰住先別構成比を出所事由別に見たものである。仮釈放者では,元年・15年・30年共に,父・母を帰住先とする者の割合が最も高いが,30年は15年と比較すると,父・母の占める割合が低く,更生保護施設の占める割合が高い。満期釈放者等では,元年・15年・30年を比較すると,その他の占める割合が高くなっており,30年はその他の占める割合が4割を超えている。

3-1-4-11図 出所受刑者の帰住先別構成比(出所事由別)
3-1-4-11図 出所受刑者の帰住先別構成比(出所事由別)
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