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令和元年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/8

8 選挙・公務員関係法令
(1)公職選挙法

公職選挙法(昭和25年法律第100号)には,買収及び利害誘導罪,選挙の自由妨害罪,投票の秘密侵害罪等に加えて,選挙運動に関する各種制限違反等に対する処罰規定,いわゆる連座性を含む当選人,総括主宰者,出納責任者の犯罪による当選無効の規定,いわゆる公民権の停止に係る選挙犯罪に因る処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止等の規定が設けられている。

平成元年法律第81号による改正では,金のかからない政治の実現と選挙の公正の確保に資するため,公職の候補者等が行う寄附の禁止についての罰則の強化等が行われ,候補者等がその選挙区内にある者に対してする寄附については,候補者が自ら出席する結婚披露宴,葬式等に係る祝儀,香典等の供与を除き,処罰の対象とされた。また,挨拶を目的とする有料広告の制限違反の罰則が新設された(平成2年2月施行)。

平成4年法律第98号による改正では,いわゆる百日裁判の迅速化のために,この対象となる刑事訴訟については,裁判長は,第一回の公判期日前に,審理に必要と見込まれる公判期日を一括して定めなければならない旨の規定が置かれ,公職にある間に収賄罪を犯し刑に処せられた者に係る公民権停止規定の新設等がなされた(一部を除き平成4年12月施行)。

平成6年法律第2号による改正では,連座制が強化され,立候補予定者の親族並びに候補者及び立候補予定者の秘書を新たに連座制の対象とした。また,連座制の効果について,当選無効に加えて,連座裁判確定等のときから5年間の立候補制限を導入することとした(一部を除き平成6年12月施行)。さらに,平成6年法律第105号による改正により,新たな連座の対象として,組織的選挙運動管理者等が追加された(同年12月施行)。

平成10年法律第47号による改正では,在外投票制度の導入に伴い,買収罪,選挙の自由妨害罪等について,国外犯処罰規定が整備された(平成11年5月施行)。

平成11年法律第122号による改正では,公職にある間に犯した収賄罪等の罪で刑に処せられた者の被選挙権の停止期間を更に5年間延長する規定が設けられた(平成11年9月施行)。

平成15年法律第140号による改正では,衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙において,政党が国政に関する重要政策等を記載したパンフレット等を選挙運動のために頒布するための規定が整備され,同規定に違反してパンフレット等を頒布した者に対する処罰規定が設けられた(平成15年10月施行)。

平成25年法律第10号による改正では,インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁に伴い,虚偽の氏名等を表示してインターネット等を利用する方法により通信した者も氏名等の虚偽表示罪の処罰対象となった(平成25年5月施行)。

平成27年法律第43号による改正では,選挙権を有する者の年齢が満20歳以上から満18歳以上に改められるとともに,選挙犯罪等について,18歳以上20歳未満の者が犯した連座性に係る事件については,その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認められる場合には,家庭裁判所は,原則として,検察官への送致の決定をしなければならないこととするなどの少年法の特例等が設けられた(平成28年6月施行)。

(2)政治資金規正法

政治資金規正法(昭和23年法律第194号)は,<1>政党,協会その他の団体,公職の候補者及び第三者の政治活動に伴う資金の収支を公の機関に報告させ,もってこれらの資金の全貌を一般国民の前に公開する措置,<2>主として選挙に伴う不正行為の発生を未然に防止するため,政治資金の寄附を制限する措置,<3>これらの措置に対する違反行為の処罰及びその結果としての当選無効,選挙権・被選挙権の喪失等に関する措置等が規定されている。

平成4年法律第99号による改正では,政治資金パーティー開催の適正化に関する規定が設けられるとともに,政治活動に関する寄附の量的制限違反行為に係る罰則が強化され,さらに,違法な寄附の必要的没収追徴規定が設けられた(一部を除き平成5年1月施行)。

平成6年法律第4号による改正では,会社,労働組合その他の団体のする政治活動に関する寄附の制限の強化等が図られるとともに,公職の候補者の選挙運動を除く政治活動に関する金銭等による寄附を禁止し,併せて,公民権停止制度が設けられ,両罰規定の適用範囲が拡大されるなどした(一部を除き平成7年1月施行)。

平成11年法律第159号による改正では,会社,労働組合その他の団体が資金管理団体に対してする政治活動に関する寄附等の禁止規定が設けられ,これに違反した者に対する罰則が設けられた(平成12年1月施行)。

平成17年法律第104号による改正では,政党及び政治資金団体を除く政治団体間における政治活動に関する寄附の制限規定が設けられ,これに違反した者に対する罰則が設けられた(平成18年1月施行)。

平成19年法律第135号による改正では,国会議員関係政治団体に政治資金監査報告書の提出を義務付ける規定が設けられ,政治資金監査報告書の不提出・虚偽記載等についての罰則が設けられた(平成20年1月施行)。

(3)公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律

公職にある者等の政治活動の廉潔性を確保し,政治に対する国民の信頼を確立することを目的として,平成12年11月,公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)が成立した(13年3月施行)。同法は,国会議員又は地方公共団体の議員若しくは長が,国若しくは地方公共団体が締結する売買等の契約又は特定の者に対する行政庁の処分に関し,請託を受けて,その権限に基づく影響力を行使して公務員に職務上の行為をさせるようにあっせんすることなどにつき,その報酬として財産上の利益を収受することなどを処罰の対象とするとともに,国会議員の公設秘書についても同様の処罰規定が置かれている。平成14年法律第91号による改正により,国会議員のいわゆる私設秘書(国会議員に使用され,当該議員の政治活動を補佐する者)が犯罪主体に加えられた(14年8月施行)。