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平成30年版 犯罪白書 第7編/第5章/第1節

第1節 特別調整と社会内での支援

高齢受刑者等が出所後,地域に定着し,再犯をせずに生活していくためには,社会内に帰るべき場所が必要である。高齢出所受刑者は,出所受刑者全体と比べて仮釈放率が低く(2-5-1-1図7-3-5-3図参照),仮釈放と満期釈放を合わせた出所受刑者の帰住先別構成比を見ると,高齢出所受刑者の9割近くを占める男性では,男性出所受刑者全体と比べ,刑事施設を出所後に親族のもとに帰住する者の占める割合が低い一方,出所後の帰住先が明らかでない者や,適切な帰住先がない者等の占める割合が高い(2-4-1-10図CD-ROM,7-3-4-7図CD-ROM参照)。

高齢受刑者が社会内で安心して暮らせる居場所を得ることは,再犯を重ねるほど難しくなる。7-5-1-1図は,平成29年における高齢入所受刑者の犯行時の居住状況別構成比を入所度数別に見たものである。入所度数が多いほど,住居不定者の占める比率が高く,特に入所度数が5度以上の高齢入所受刑者では,4人に1人以上が住居不定であった。

7-5-1-1図 高齢入所受刑者の居住状況別構成比(入所度数別)
7-5-1-1図 高齢入所受刑者の居住状況別構成比(入所度数別)
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これらを踏まえると,国,地方公共団体,民間の三者が連携して出所後の適切な帰住先を確保できるよう支援することは,高齢受刑者の再犯を防止する上で重要な課題であるといえる。かねてから様々な取組が刑務所出所者等の帰住先を確保するため行われてきたが,特に高齢出所受刑者については,出所受刑者全体と比べ,社会福祉施設や更生保護施設等が受皿として大きな役割を果たしている(2-4-1-10図7-3-4-7図参照)。刑務所出所者に対する住居確保,福祉的支援の調整等の取組は「出口支援」と呼ばれるが,この節では,高齢出所受刑者等に対する出口支援を中心とした取組について紹介する。