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平成30年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/3

3 保護観察対象者に対する措置
(1)良好措置

保護観察対象者が健全な生活態度を保持し,善良な社会の一員として自立し,改善更生することができると認められる場合に執られる措置として,不定期刑の仮釈放者について刑の執行を受け終わったものとする不定期刑終了及び保護観察付全部・一部執行猶予者について保護観察を仮に解除する仮解除がある。平成29年に,不定期刑終了が決定した仮釈放者及び仮解除が決定した保護観察付一部執行猶予者はなく,仮解除が決定した保護観察付全部執行猶予者は162人であった(保護統計年報による。)。

(2)不良措置

保護観察対象者に遵守事項違反又は再犯等があった場合に執られる措置として,仮釈放者に対する仮釈放の取消し及び保護観察付全部・一部執行猶予者に対する刑の執行猶予の言渡しの取消しがある。

保護観察対象者が出頭の命令に応じない場合等には,保護観察所の長は,裁判官が発する引致状により引致することができ,さらに,引致された者のうち,仮釈放者及び少年院仮退院者については地方更生保護委員会が,保護観察付全部・一部執行猶予者については保護観察所の長が,それぞれ一定の期間留置することもできる。平成29年中に引致された者(保護観察処分少年及び少年院仮退院者を含む。)は208人で,そのうち留置された者は194人であった(保護統計年報による。)。

なお,所在不明になった仮釈放者については,保護観察の停止をすることができるところ,平成29年にこの措置が決定した仮釈放者は217人であった(保護統計年報による。)。また,所在不明となった仮釈放者及び保護観察付全部・一部執行猶予者の所在を迅速に発見するために,保護観察所の長は,警察からその所在に関する情報の提供を受けているが,17年12月からの試行期間を含め30年3月31日までの間に,この情報提供により3,097人(仮釈放者1,850人,保護観察付全部・一部執行猶予者1,247人),当該情報提供によらない保護観察所の調査により1,659人(同630人,1,029人)の所在が,それぞれ判明した(法務省保護局の資料による。)。