窃盗を除く刑法犯の認知件数,検挙件数及び検挙率の推移(最近20年間)は,1-1-2-5図のとおりである。認知件数は,平成16年に58万1,463件と戦後最多を記録した後,17年から減少している。検挙件数は,19年から減少している。検挙率については,10年まで70%以上で推移していたが,12年から急激に低下し,16年に37.8%と戦後最低を記録した。その後,緩やかな上昇傾向にあり,28年は前年より1.9pt上昇し,47.0%であった(1-1-1-1図CD-ROM参照)。
窃盗を除く刑法犯について,主な罪名・罪種ごとに認知件数の推移(最近20年間)を見ると,1-1-2-6図のとおりである。
認知件数,検挙件数及び検挙率の推移(最近20年間)を罪名別に見ると,1-1-2-7図のとおりである(詳細についてはCD-ROM資料1-2,1-3参照)。
なお,盗品譲受け等,公然わいせつ,わいせつ物頒布等,略取誘拐・人身売買,通貨偽造,文書偽造等及び賭博・富くじの認知件数等については,CD-ROM参照。
殺人の認知件数は,平成16年から減少傾向にあり,28年は戦後最少の895件(前年比38件(4.1%)減)であった。検挙率は,安定して高い水準(28年は100.7%)にある。
強盗の認知件数は,平成15年に昭和26年以降で最多の7,664件を記録した後,平成16年から減少傾向にあり,28年は2,332件(前年比94件(3.9%)減)であった。検挙率は,17年から上昇傾向にあり,28年は80.5%(同1.6pt上昇)であった。
平成28年における強盗の認知件数の手口別構成比は,1-1-2-8図のとおりである。
傷害,暴行及び脅迫の認知件数は,いずれも平成12年に急増した。傷害の認知件数は,15年(3万6,568件)まで増加していたが,20年以降は2万件台で推移しており,28年は2万4,365件(前年比818件(3.2%)減)であった。暴行の認知件数は,18年以降おおむね高止まりの状況にあり,28年は3万1,813件(同730件(2.2%)減)であった。脅迫の認知件数は,24年に急増したが,28年は,27年と同じ3,700件であった。いずれの検挙率も,16年前後からおおむね上昇傾向にある。
詐欺の認知件数は,平成17年に昭和35年以降で最多の8万5,596件を記録した後,平成18年から減少に転じたが,24年からは増加傾向を示しており,28年は4万990件(前年比1,558件(4.0%)増)であった。検挙率は,16年に32.1%と戦後最低を記録した後,17年から上昇に転じ,23年から26年までの低下を経て,28年は45.3%(同0.7pt上昇)であった。
振り込め詐欺及びそれ以外の特殊詐欺の認知件数,検挙件数及び被害総額(被害者がキャッシュカードを犯人に直接手渡すなどする「キャッシュカード手交型」の特殊詐欺におけるATMからの引出(窃取)額を含まない。以下この項において同じ。)の推移(最近5年間)は,1-1-2-9図のとおりである。平成28年は,認知件数,検挙件数共に,特殊詐欺全体では,前年より増加(それぞれ2.4%増,8.7%増)したが,振り込め詐欺以外の特殊詐欺では,認知件数が前年より減少(49.3%減)し,検挙件数は前年と同じであった。また,28年は,振り込め詐欺以外の特殊詐欺の被害総額が前年より大きく減少(63.0%減)したことに伴い,特殊詐欺全体としての被害総額も,約389億円に減少(前年比17.3%減)した(なお,「キャッシュカード手交型」の特殊詐欺におけるATMからの引出(窃取)額を含めると約408億円。警察庁刑事局の資料による。)。
振り込め詐欺の認知件数は,平成21年(7,340件)に前年(2万481件)より大きく減少(64.2%減)したが,24年から増加し続けており,28年は23年(6,233件)の約2.2倍であった。また,振り込め詐欺の被害総額は,23年から27年まで増加を続け,28年は27年よりもわずかに減少(6.7%減)したものの,22年(約82億円)の約4.3倍であった(警察庁刑事局の資料による。)。
恐喝の認知件数は,平成13年に1万9,566件を記録した後,14年から減少しており,28年は2,162件(前年比452件(17.3%)減)であった。
横領(遺失物等横領を含む。)の認知件数は,平成16年に戦後最多の10万4,412件を記録した後,17年から減少しており,28年は2万4,492件(前年比3,544件(12.6 %)減)であった。
強姦の認知件数は,平成9年から増加傾向を示し,15年に2,472件を記録したが,その後は減少傾向にあり,28年は989件(前年比178件(15.3%)減)であった。検挙率は,10年から低下し,14年に62.3%と戦後最低を記録したが,その後は上昇傾向にあり,28年は98.1%(同2.6pt上昇)であった。
強制わいせつの認知件数は,平成11年から急増し,15年に昭和41年以降で最多の1万29件を記録した。その後,平成21年まで減少し,22年から増加傾向にあったが,26年から減少に転じ,28年は6,188件(前年比567件(8.4%)減)であった。検挙率は,11年から急低下し,14年に35.5%と昭和41年以降で最低を記録したが,その後は上昇傾向にあり,平成28年は68.0%(同6.9pt上昇)であった。
放火の認知件数は,平成16年に2,174件を記録した後,17年から減少傾向にあり,28年は914件(前年比178件(16.3%)減)であった。
公務執行妨害の認知件数は,平成18年に戦後最多の3,576件を記録した後,おおむね減少傾向にあり,28年は2,472件(前年比219件(8.1%)減)であった。
住居侵入の認知件数は,平成15年に戦後最多の4万348件を記録した後,16年から減少傾向にあり,28年は1万5,982件(前年比1,130件(6.6%)減)であった。
器物損壊の認知件数は,平成15年の23万743件をピークに,16年から減少しており,28年は10万440件(前年比1万2,491件(11.1%)減)であった。検挙率は,16年から若干上昇傾向にあり,28年は9.5%(同0.3pt上昇)であったが,依然,刑法犯全体と比べて著しく低い。