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平成27年版 犯罪白書 第6編/第5章/第3節/4

4 最後に

性犯罪については,暗数が多いと言われている犯罪であること,被害者の人格や尊厳を著しく侵害する犯罪であることなどから,その再犯防止を図ることは重要課題である。性犯罪の発生を防止するためには,潜在化しやすい性犯罪について,早期に発見し適正に処罰していくことや,被害者の二次被害を防止するための施策,性犯罪者の処遇を含めた再犯防止のための施策など総合的な対策が必要であると言われている。近年,性犯罪の罰則の在り方に関して検討するために,法務省において,刑事法研究者,法曹三者,被害者支援団体関係者等からなる「性犯罪の罰則に関する検討会」が開催され,性犯罪を非親告罪とすることや強姦罪等の法定刑の見直し等について検討された。その検討結果として,平成27年8月に報告書が取りまとめられ,同報告書を踏まえ,法務大臣は,同年10月,法制審議会に対し,性犯罪の罰則に関する改正について諮問した。

今回の調査は,主として懲役刑の有罪判決を受けた性犯罪者に焦点を当て,再犯防止の観点から,それらの者の基本的属性,前科,再犯の状況,更には再犯に関連する要因の分析等を含め,幅広く検討したものであり,本特集が性犯罪者に対する再犯防止対策を考察する一助となることを期待するものである。