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第3節 少年院出院後の犯罪状況の分析

この節では,調査対象者全体(644人)について刑事処分に至った者(248人)とそうでない者(396人)を比較するとともに,刑事処分に至った者について本件出院後の状況を調査し,少年院入院者の改善更生の阻害要因・促進要因を探求する。この節の構成は以下のとおりである。

1項において,調査対象者644人の保護処分歴,少年院の処遇及び保護観察の状況等の少年時の状況と本件出院後の犯罪との関連性の分析を行う。

2項において,調査対象者644人を本件非行名及び全刑事処分に係る罪名により分類し(本件非行名により分類したものを非行群,全刑事処分の罪名により分類したものを犯罪類型という。),それぞれの非行群,犯罪類型ごとに,少年時の状況と本件出院後の犯罪との関連性の分析を行う。

最後に,3項において,刑事処分を受けた者(248人)について,判決書(248人分)及び刑事確定記録(186人分)に基づいて,本件出院から犯行に至るまでの生活状況等を調査し,出院後の状況と出院後の犯罪との関連性,犯罪又は改善の促進要因等の分析を行う。

今回の分析において用いる各非行群,犯罪類型の内訳は下表のとおりである。それぞれの群又は類型は,少年院送致決定,全刑事処分に係る裁判において表の右欄の非行名,罪名を有する者で構成され,一人が複数の非行名,罪名を有する場合は,複数の非行群,犯罪類型に含まれることがある。


非行群非行名
窃盗非行群窃盗
粗暴非行群公務執行妨害,傷害,暴行,脅迫,恐喝,決闘罪に関する件,暴力行為等処罰法違反,銃刀法違反
性非行群強盗強姦,強姦,強制わいせつ,公然わいせつ・わいせつ文書頒布等
薬物非行群覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反,毒劇法違反
交通非行群危険運転致死傷,自動車運転過失致死傷等,道路交通法違反
重大非行群殺人,強盗,傷害致死,放火
犯罪類型罪 名
窃盗犯罪類型窃盗
粗暴犯罪類型公務執行妨害,傷害,暴行,脅迫,恐喝,暴力行為等処罰法違反,器物損壊,条例違反(木刀の携帯に係る罪),銃刀法違反
性犯罪類型強姦,強制わいせつ,公然わいせつ,条例違反(淫行及び盗撮に係る罪)
薬物犯罪類型覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反,毒劇法違反,大麻取締法違反
交通犯罪類型危険運転致傷,自動車運転過失致死傷等,道路交通法違反,道路運送車両法違反,自動車損害賠償保障法違反
重大犯罪類型強盗,傷害致死

注 非行名は,法務省大臣官房司法法制部の資料により特定し得るものに限る。