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平成22年版 犯罪白書 第1編/第1章/第1節/1

1 認知件数と発生率

刑法犯の認知件数は,平成8年から毎年戦後最多を更新し,14年に369万3,928件を記録した後,15年から減少に転じて,毎年減少し続け,21年は239万9,702件(前年比13万3,649件(5.3%)減)まで減少した。最近の認知件数の減少は,例年,刑法犯の約6割を占めてきた窃盗の認知件数が15年から毎年減少した(第2節1項参照)ことが大きな要因となっている。また,窃盗を除く一般刑法犯の認知件数も,16年まで増加を続けていたが,17年から21年まで毎年減少している。このように,刑法犯の認知件数は,最近減少しているが,戦後を通じて見れば,まだ相当高い水準にある。

刑法犯の発生率の動向は,認知件数とほぼ同様である。平成10年(2,127.2)以降,毎年戦後最高を更新し,14年に2,897.5を記録した後,15年から低下に転じて,毎年低下し続け,21年は1,882.0(前年比102.0pt低下)まで低下した(CD-ROM資料1‐1参照)。

平成21年における刑法犯の認知件数・発生率を罪名別に見ると,1‐1‐1‐2表のとおりであり,認知件数の罪名別構成比は,1‐1‐1‐3図<1>のとおりである。認知件数の罪名別構成比では,窃盗が54.1%と最も高く,次いで,自動車運転過失致死傷等(29.0%),器物損壊(7.1%),横領(遺失物等横領を含む。以下この節において同じ。)(2.7%),詐欺(1.9%)の順であった。

1‐1‐1‐2表 刑法犯 認知件数・発生率・検挙件数・検挙人員・検挙率(罪名別)

1-1-1-3図 刑法犯 認知件数・検挙人員の罪名別構成比

1‐1‐1‐4図は,窃盗を除く一般刑法犯について,主な罪名・罪種ごとに,認知件数の推移(最近20年間)を見たものである。窃盗を除く一般刑法犯の認知件数は,平成12年から16年にかけて急増したが,その大きな要因として,器物損壊の急増が挙げられる。

1‐1‐1‐4図 一般刑法犯(窃盗を除く) 認知件数の推移(罪名別)