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 平成21年版 犯罪白書 第7編/第2章/第1節/2 

2 一般刑法犯により検挙された成人の有前科者

 一般刑法犯により検挙された成人の有前科者(道路交通法違反を除く犯罪による前科を有する者をいう。以下,この項において同じ。)の人員及び有前科者率(成人による一般刑法犯検挙人員に占める有前科者人員の比率をいう。以下,この項において同じ。)の推移(最近20年間)は,7-2-1-2図のとおりである。
 一般刑法犯により検挙された成人の有前科者人員は,平成8年から増加し続けていたが,19年からは2年連続で若干減少し,20年は7万3,668人であった。他方,有前科者率は,元年以降22〜30%で推移している。20年における有前科者人員の前科数別構成比を見ると,前科1犯の者の構成比が38.8%と最も高いが,前科5犯以上の者も23.2%を占めている。

7-2-1-2図 成人による一般刑法犯 検挙有前科者の人員・有前科者率の推移

 7-2-1-3図は,平成20年における一般刑法犯により検挙された成人の前科の有無別構成比を,罪名別に見たものである。
 成人の一般刑法犯全体の有前科者率は,29.6%であるが,罪名別(殺人,強盗及び成人の検挙人員が1万人を超える罪名のものに限る。)では,強盗(49.6%)及び詐欺(42.6%)の有前科者率が顕著に高い。
 同一罪種(警察庁の統計の区分による。以下,この項において同じ。)の前科を有する者の比率は,一般刑法犯全体では14.8%であるが,窃盗では20.1%と高く,同一罪種5犯以上の前科がある者の比率を見ると,一般刑法犯全体では1.8%であるが,窃盗では2.9%,詐欺では3.0%と高い。
 なお,覚せい剤取締法違反については,同法違反により検挙された成人の人員に占める同法違反の検挙歴がある者の比率(57.1%)を参考数値として掲げているが,同法違反の起訴率が極めて高いこと(平成20年は81.7%)を踏まえると,同法違反については,同一罪名の前科がある者の比率は,一般刑法犯と比べて著しく高いことがうかがわれる。

7-2-1-3図 成人による一般刑法犯 検挙者の前科の有無別構成比(罪名別)

 7-2-1-4図は,平成20年における窃盗により検挙された成人の同一罪名有前科者率(検挙人員に占める同一罪名(ここでは窃盗)の前科を有する者の人員の比率をいう。以下,この項において同じ。)を本件検挙に係る窃盗の手口別に見たものである。
 窃盗の手口を侵入窃盗,乗り物盗,非侵入窃盗の三つに大別し,同一罪名有前科者率を比較すると,侵入窃盗が35.8%と最も高く,次いで,非侵入窃盗(19.4%),乗り物盗(14.0%)の順であったが,非侵入窃盗のうち,すり,車上ねらい,仮睡者ねらい及び自動販売機ねらい,乗り物盗のうち,自動車盗については,いずれも同一罪名有前科者率が30%を超えている。

7-2-1-4図 成人による窃盗 検挙者の同一罪名有前科者率(手口別)