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 平成21年版 犯罪白書 第2編/第3章/第1節/3 

3 上訴審

 平成20年における通常第一審の終局裁判に対する上訴率(公訴棄却の決定及び正式裁判請求の取下げによる終局を除く終局処理人員に占める上訴(控訴及び跳躍上告)人員の比率をいう。)は,地方裁判所の裁判については10.7%,簡易裁判所の裁判については5.5%であった。同年の高等裁判所における控訴事件について,受理区分を,終局処理人員で見ると,被告人側のみの控訴申立てによるものが7,703人(96.7%),検察官のみの控訴申立てによるものが192人(2.4%),双方からの控訴申立てによるものが64人,破棄差戻し等によるものが3人であった(司法統計年報による。)。
 平成20年における高等裁判所の控訴審としての終局処理人員を罪名・裁判内容別に見ると,2-3-1-6表のとおりである。
 控訴棄却が5,310人(66.7%)と最も多く,次いで,取下げ1,577人(19.8%),破棄自判1,011人(12.7%)の順であった。
 破棄理由を見ると,破棄人員総数1,031人中,判決後の情状によるものが620人と最も多く,次いで,量刑不当(202人),事実誤認(136人)の順であった。
 破棄自判の結果,第一審の裁判が覆って無罪となった者は,13人であった(司法統計年報による。)。他方,検察官が第一審の無罪判決を不服として控訴した63人の被告人のうち35人については,第一審判決が覆されて有罪となっている(検察統計年報による。)。
 平成20年に言い渡された控訴審判決に対する上告率(控訴棄却の決定,公訴棄却の決定及び取下げによる終局を除く終局処理人員に占める上告人員の比率をいう。)は37.1%であった(司法統計年報による。)。
 平成20年における最高裁判所の上告事件の終局処理人員は,2,498人(第一審が高等裁判所であるものを含む。)であり,その内訳は,上告棄却2,012人(80.5%),取下げ476人(19.1%),公訴棄却5人,破棄自判3人,破棄差戻し2人であった(司法統計年報による。)。

2-3-1-6表 控訴審の終局処理人員(罪名別・裁判内容別)