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 平成20年版 犯罪白書 第2編/第6章/第1節/8 

8 受刑者の移送

1983年に,欧州評議会において,外国人受刑者を母国に移送して母国で服役させる制度の創設を内容とする刑を言い渡された者の移送に関する条約が採択された。我が国においては,2002年に国際受刑者移送法(平成14年法律第66号)が成立するとともに,同条約の締結につき国会承認が得られ,2003年2月に同条約への加入書を寄託した。同条約は,同年6月に我が国についても効力を生じた。また,アジア地域では,日本に続いて韓国が,2005年7月に同条約に加入し(同年11月発効),我が国と韓国との間で受刑者の移送が可能になった。我が国においては,2004年,同法律に基づき,初めて我が国からの送出移送が行われ,2006年,初めて我が国への受入移送が行われた。2007年の送出移送人員の合計は44人であり,その内訳は,オランダ12人,英国7人,米国6人,カナダ5人,ドイツ4人,オーストリア及びポーランド各3人,韓国2人,アイルランド及びフランス各1人である。また,2007年の受入移送人員は,韓国1人である(法務省矯正局の資料による。)。
 また,同条約未加入国との間における受刑者の移送については,2007年11月から,タイとの間で二国間の受刑者移送条約の締結交渉が行われているほか,中国との間においては,2008年5月の胡錦濤中国国家主席訪日の際に,日中受刑者移送条約の締結交渉を開始すること等についての共通認識に達した。