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 平成19年版 犯罪白書 第7編/第4章/第2節/3 

3 被害者との関係

 初度事犯及び再度事犯において,殺人再犯者と被害者との関係(各犯行時において,調査した殺人再犯者の側から見て,殺人再犯者と相手の被害者とが,例えば妻(内妻),恋人,近所の人,知人等の関係にあったことをいう。以下,本章において同じ。)を見る。
 殺人再犯者の初度・再度事犯別被害者との関係別等人員は,7-4-2-5図のとおりである。

7-4-2-5図 初度・再度事犯別被害者との関係別等人員

 殺人再犯者のうち,暴力団関係者(暴力団関係があった者をいう。以下,本章において同じ。)においては,暴力団員や知人を被害者として犯行に及んだ者が多かった。一方,暴力団非関係者(暴力団関係がなかった者をいう。以下,本章において同じ。)においては,知人あるいは面識なしの者を被害者として犯行に及んだ者が目立つ。
 殺人再犯者の初度事犯における被害者との関係が,再度事犯における被害者との関係と同じであった者の比率(例えば,初度事犯の被害者が知人であった者のうち,再度事犯の被害者も知人であった比率)は,殺人再犯者が暴力団関係者の場合においては,被害者との関係が,知人のときに21人中12人の57.1%と最も高く,次いで,暴力団員(23人中12人の52.2%),妻(内妻)(2人中1人の50.0%),恋人(4人中2人の50.0%)の順であった。同じく,殺人再犯者が暴力団非関係者の場合においては,被害者との関係が近所の人のときに3人中2人の66.7%と最も高く,次いで,知人(13人中7人の53.8%),面識なし(14人中6人の42.9%)の順であった。
 暴力団関係の有無にかかわらず,初度事犯の被害者が知人であった者のうち,半数以上の者が再度事犯の被害者も知人であったことが分かる。なお,この場合における犯行の動機・原因の多くは,「憤まん・激情」によるものであった。