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 平成19年版 犯罪白書 第7編/第3章/第5節/4 

4 仮釈放者の罪名別保護観察終了時就労状況

 7-3-5-5図は,仮釈放者の保護観察終了時の統計資料を対象として,平成8年から17年までにおいて,罪名別に,仮釈放取消しとなった者と,仮釈放者全体のそれぞれについて,仮釈放者の保護観察終了時の就労状況を見たものである。

7-3-5-5図 仮釈放者の罪名別保護観察終了時就労状況別構成比

 保護観察終了時に無職であった者の比率は,仮釈放者全体で見れば,いずれの罪名においても30%前後かそれ以下である(平成18年の仮釈放者における保護観察終了時の就労状況については,第2編第5章第2節4参照)。これに対し,仮釈放が取り消された者に限定して見ると,いずれの罪名においても,無職であった者が50%以上であり,特に,窃盗,詐欺といった財産犯においては80%以上と,相当高い。
 また,罪名別に,仮釈放取消率の違いを,保護観察終了時の就労状況で比較すると,有職者については,いずれの罪名においても仮釈放取消率が1.6%〜3.1%と低い水準にあるが,無職者については,特に,窃盗(29.4%),強盗(22.6%),詐欺(19.3%)と,財産犯において,相対的に高いものとなっている(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
 以上のことから,就労状況と再犯には高い関連があることがうかがわれ,特に財産犯を行った者については,就労の安定を図ることが再犯防止に向けた重要な課題といえる。