前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成18年版 犯罪白書 第6編/第3章/第6節/2 

2 不法入国・不法滞在対策等の取組の概要

 前記行動計画を踏まえ,平成17年3月,法務大臣は,出入国の公正な管理を図るため,外国人の入国及び在留の管理に関する施策の基本となるべきものとして「第3次出入国管理基本計画」を策定した。同出入国管理基本計画は,我が国の治安を回復するための取組として,水際対策の推進,綿密な情報分析と関係機関と連携した強力な摘発,効率的な退去強制手続等のための制度の見直し等を定め,不法入国・不法滞在対策等を強力に推進している。

(1) 水際対策

 不法滞在者を大幅に縮減するためには,不法滞在を目的とする外国人を我が国に来させないこと,入らせないことが必要である。このため,不法残留に至ることの多い「短期滞在」等の在留資格については,特に厳格な上陸審査を実施し,問題のある外国人の水際での阻止に努めている。平成17年における外国人の被上陸拒否者数は1万722人で,最近5年間で最多を記録した16年に引き続き,1万人を超えた(法務省入国管理局の資料による。)。

(2) 綿密な情報分析と関係機関と連携した強力な摘発

 不法滞在者の半減のため,既に我が国に不法滞在している外国人の退去強制を強力に実施している。法務省入国管理局は,警察等の関係機関と連携して,不法滞在者に関する情報収集や不法滞在者が集中する地域での合同摘発の恒常化等により,不法滞在者の摘発強化を図っている。

(3) 効率的な退去強制手続等のための制度の見直し

 効果的及び効率的に退去強制手続を進めるため,制度の見直し等を行っている。
 入管法の一部を改正する法律(平成16年法律第73号)は,自ら入国管理官署に出頭した外国人で一定の要件に該当する場合には,簡易な手続で迅速に出国させるための出国命令制度を新設し,不法滞在者の自主的な出頭を促す措置を講じた(同年12月施行)。
 また,刑事手続から早期に退去強制手続へ移行させることによって効率的に退去強制手続を進めることを目的として,警察から入国警備官への被疑者の引渡し制度を活用している。平成17年に,入管法違反により逮捕された後,同制度に基づき,警察から入国警備官へ引き渡された来日外国人は,5,706人(前年比40.0%増)であった(警察庁刑事局の資料による。)。