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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第4章/第4節/6 

6 出院者の状況

(1) 環境調整

 少年が在院中から,保護観察所では,担当の保護観察官・保護司を指名して帰住予定地の環境調整を行い,引受人と今後の指導の在り方や進路等について協議したり,本人と文通や面会を行うなどして,更生にふさわしい帰住環境が作られるよう調整を図っている。
 在院者の環境調整新規受理人員の推移(最近30年間)は,4-4-4-28図のとおりであり,平成16年は6,483人(前年比5.2%減)であった。

4-4-4-28図 少年院在院者の環境調整新規受理人員の推移

(2) 仮退院

 仮退院は,在院者が処遇の最高段階(1級上)に達し,保護観察に付することが本人の改善更生のために相当と認められるとき,又は処遇の最高段階に達していなくても,本人の努力により成績が向上し,保護観察に付することが本人の改善更生のために特に必要であると認められるときに,地方更生保護委員会によって許可される。
 仮退院許可人員の推移(昭和24年以降)は,4-4-4-29図のとおりである。
 近年は平成7年前後と比較して多くなっており,16年は5,466人(前年比2.8%減)であった。申請棄却人員は,ごく少数であり,16年は1人であった。

4-4-4-29図 少年院仮退院許可人員の推移

(3) 出院事由

 平成16年の出院者の出院事由別人員は,4-4-4-30表のとおりである。
 出院後に保護観察を伴う「仮退院」が約97%,これを伴わない「退院」が約3%であり,出院者の大半については,施設内処遇から社会内処遇への円滑な移行が図られている。

4-4-4-30表 少年院出院者の出院事由別人員

(4) 在院期間

 平成16年の仮退院者の処遇区分別の在院期間別構成比は,4-4-4-31図のとおりである。
 平均在院期間は,一般短期処遇では149日,特修短期処遇では83日,長期処遇では384日であった(矯正統計年報による。)

4-4-4-31図 少年院仮退院者の処遇区分別の在院期間別構成比

 出院者のうち,その在院中に収容継続の措置(少年院法11条1項ただし書によるもの及び同条4項によるもの)が執られた者の人員の推移(昭和50年以降)は,4-4-4-32図のとおりである。
 かつては,1項ただし書による収容継続の方が多かったが,平成11年以降は,4項による収容継続の方が多くなっている。

4-4-4-32図 収容継続の措置が執られた少年院出院者の推移

(5) 就職状況等

 平成16年の出院者の就職状況等は,4-4-4-33図のとおりである。
 出院者に占める就職決定者の比率は,男子では32.4%,女子では5.3%であった。10年前の平成7年には,男子では50.6%,女子では10.2%であったのと比較すると,ここ数年で,就職が困難になっている状況がうかがわれる。

4-4-4-33図 少年院出院者の就職状況等

(6) 再入院等の状況

 平成8年から16年までの少年院出院者の再入院等の状況は,4-4-4-34表のとおりである。
 出院から5年内に再入院した者の比率は,約16%であり,出院(複数回入院した者の場合にはその最終の出院)から5年内に刑務所に入所(初入受刑者としての入所の場合に限る。)した者の比率は,約9〜12%であった。

4-4-4-34表 少年院出院者の再入院等の状況