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 平成17年版 犯罪白書 第4編/第4章/第4節/4 

4 新入院者の特徴

(1) 年齢

 新入院者の年齢層別構成比の推移(昭和50年以降)は,4-4-4-8図のとおりである。
 昭和50年に過半数を占めていた年長少年の比率は,その後緩やかに低下し,平成11年から13年までは中間少年が年長少年をわずかに上回っていたが,14年以降年長少年が中間少年をわずかに上回っている。

4-4-4-8図 少年院新入院者の年齢層別構成比の推移

(2) 非行名

 平成16年の新入院者の男女・年齢層別の非行名別構成比は,4-4-4-9図のとおりである。
 男女別に見ると,男子では,窃盗が40.9%を占めているのに対し,女子では,覚せい剤取締法違反と窃盗がそれぞれ約20%を占めている。
 年齢層別に見ると,男子では,年齢層が上がるにつれて,窃盗の比率が低くなる一方,道路交通法違反の比率が高くなっている。女子では,年齢層が上がるにつれて,覚せい剤取締法違反の比率が高くなる一方,窃盗,虞犯等の比率が低くなっている。

4-4-4-9図 少年院新入院者の男女・年齢層別の非行名別構成比

 新入院者の男女別の非行名別構成比の推移(昭和50年以降)は,4-4-4-10図のとおりである(巻末資料4-13参照)。
 男子では,従来高かった窃盗の比率(昭和50年は52.1%)が次第に低下していたが(平成12年は31.7%),最近は再び上昇しつつあり,16年は40.9%であった。強盗の比率は,9年以降約10%を占めるようになった。
 これに対し,女子では,虞犯の比率が従来高かったが(昭和50年は45.4%),近年は大幅に低下し,平成16年は14.8%であった。覚せい剤取締法違反の比率が9年(43.8%)まで上昇したが,その後は低下しており,16年は20.5%であった。最近では,傷害・暴行の比率が上昇し,16年は15.9%であった。

4-4-4-10図 少年院新入院者の男女別の非行名別構成比の推移

(3) 保護処分歴

 平成16年の新入院者の男女別の保護処分歴別構成比は,4-4-4-11図のとおりである。
 初入者(新入院者のうち,初めて少年院に入院した者をいう。以下,本節において同じ。)の比率は,男子では81.1%,女子では90.5%であった。男子では,保護処分歴のある初入者が全体のほぼ半数の50.2%であり,これに少年院再入院者を併せると,69.1%を占めるのに対し,女子では,保護処分歴のない初入者が54.5%を占めている。

4-4-4-11図 少年院新入院者の男女別の保護処分歴別構成比

(4) 教育程度等

 平成16年の新入院者の男女別の教育程度別構成比は,4-4-4-12図のとおりである。
 男女ともに,中学卒業の比率が最も高く,次いで,高校中退の比率が高い。

4-4-4-12図 少年院新入院者の男女別の教育程度別構成比

 平成16年12月31日現在の在院者の知能指数は,4-4-4-13表のとおりである。
 知能指数が100以上の者の比率は,男子では36.8%,女子では18.9%であった。

4-4-4-13表 少年院在院者の知能指数

(5) 就学・就労状況

 平成16年の新入院者の就学・就労別構成比は,4-4-4-14図のとおりである。
 新入院者全体では,無職が46.2%を占め,有職は32.5%にとどまった。女子は,男子と比較して,無職及び学生・生徒の比率が高く,有職の比率が低い。

4-4-4-14図 少年院新入院者の男女別の就学・就労別構成比

(6) 共犯関係・不良集団関係

 平成16年の新入院者の男女別の共犯関係別構成比は,4-4-4-15図のとおりである。
 単独犯の比率は,男子では32.0%,女子では40.3%であった。
 共犯者の種類を見ると,男女ともに,遊び仲間の比率(男子41.7%,女子36.9%)が最も高く,次いで,不良集団の比率(男子18.5%,女子5.9%)が高い(矯正統計年報による。)。

4-4-4-15図 少年院新入院者の男女別の共犯関係別構成比

 平成16年の新入院者が関係を有した不良集団の種類別構成比を,男女別に見ると,4-4-4-16図のとおりである。
 不良集団に関係のある者が,男子では約53%,女子では約42%であった。男女ともに,地域不良集団と関係を有する者の比率が最も高い。女子は,男子と比較して,暴走族と関係を有する者の比率が低く,暴力団と関係を有する者の比率が高い。

4-4-4-16図 少年院新入院者の男女別の不良集団関係別構成比

(7) 保護者の状況

 平成16年の新入院者の保護者別構成比を,処遇区分別,男女別に見ると,4-4-4-17図のとおりである。
 処遇区分別では,長期処遇の方が,一般短期処遇及び特修短期処遇と比較して,「実父母」の比率が低い。
 男女別では,女子の方が「実父母」の比率が低い。

4-4-4-17図 少年院新入院者の処遇区分・男女別の保護者別構成比

 また,平成16年度の新入院者の,非行時における家族との同居率は,男子では83.1%,女子では67.4%であった(矯正統計年報による。)。