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 平成17年版 犯罪白書 第2編/第5章/第3節/5 

5 対象者に対する措置と保護観察の終了

(1) 成績良好者・不良者に対する措置

 対象者の行状が安定し,再犯のおそれがなくなったと認められる場合に執られる措置が良好措置であり,刑の短期を経過した不定期刑仮出獄者について刑の執行を受け終わったものとする不定期刑終了の措置,保護観察付き執行猶予者について保護観察を仮に解除する仮解除の措置がある。平成16年に仮解除の措置が執られた者は,526人(前年比8.7%増)であり,不定期刑終了が執られた者は,いなかった(保護統計年報による。)。
 対象者に,遵守事項違反,再犯等があった場合には,不良措置が執られる。不良措置には,矯正施設に再収容する仮出獄の取消し刑の執行猶予の取消しのほか,所在不明になった仮出獄者の刑期の進行を止める保護観察の停止がある。平成16年には,522人(前年比1.7%減)について保護観察の停止措置が執られた(保護統計年報による。)。
 対象者が,一定の住居に居住しない場合や,遵守事項を遵守しなかったことを疑うに足る十分な理由があり,かつ,保護観察所の長の呼出しに応じないか又は応じないおそれがある場合には,裁判官の発する引致状により引致を行い,さらに,不良措置の審理を開始する旨の決定により,一定の期間,所定の施設に留置する措置が執られる。保護観察処分少年及び少年院仮退院者を含めて,平成16年において,引致された者は192人(前年同)であり,留置された者は161人(前年比4人減)であった(保護統計年報による。)。

(2) 保護観察終了事由等

 平成16年の保護観察終了人員(仮出獄者及び保護観察付き執行猶予者)の保護観察終了事由別構成比は,2-5-3-8図のとおりである。
 仮出獄者では,期間満了が93.0%,仮出獄取消しが6.2%(1,021人)であり,保護観察付き執行猶予者では,期間満了が66.1%,執行猶予取消しが31.0%(1,650人)であった。
 平成16年の保護観察終了人員のうち取消しで終了した者の比率を,受理時の罪名(終了者数が100人以上のものに限る。)別に見ると,仮出獄者では,窃盗が10.5%と最も高く,次いで,毒劇法違反(7.8%),住居侵入(7.5%),覚せい剤取締法違反(6.1%),詐欺(6.1%)の順であった。保護観察付き執行猶予者では,住居侵入が44.0%と最も高く,次いで,窃盗(41.4%),詐欺(32.7%),傷害(27.1%),覚せい剤取締法違反(26.9%)の順であった(保護統計年報による。)。
 平成16年の保護観察終了人員のうち取消しで終了した者の比率を,終了時の就労状況別に見ると,仮出獄者では,有職者の2.3%,無職者の15.7%が,保護観察付き執行猶予者では,有職者の14.7%,無職者の58.3%が,それぞれ取り消されており,有職者と比較して無職者の方が取り消される者の比率が著しく高い(保護統計年報による。)。

2-5-3-8図 保護観察終了人員の終了事由別構成比

 平成16年の保護観察新規受理人員及び終了人員の各就労状況別構成比は,2-5-3-9図及び2-5-3-10図のとおりである。
 同じ年の保護観察新規受理人員と終了人員は,必ずしも同一人物ばかりとは限らないが,終了人員中の有職者の比率が,新規受理人員中の有職者の比率と比較して大幅に高くなっている。しかし,終了人員のうち,仮出獄者の29.4%,保護観察付き執行猶予者の36.2%は,依然として無職のままである。

2-5-3-9図 保護観察新規受理人員の就労状況別構成比

2-5-3-10図 保護観察終了人員の就労状況別構成比