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 平成17年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/3 

3 上訴審

 平成16年の通常第一審の終局裁判に対する控訴率は,地方裁判所では11.3%,簡易裁判所では5.2%であり,前年とほぼ同水準である。16年の高等裁判所における控訴事件の終局処理人員は,9,170人であり,これを受理区分別に見ると,被告人側のみの控訴申立てによるものが8,934人,検察官のみの控訴申立てによるものが189人,双方からの控訴申立てによるものが46人,破棄差戻しによるものが1人であった(司法統計年報による。)。
 平成16年における高等裁判所の控訴審としての終局処理人員を,罪名別に見ると,2-3-2-4表のとおりである。

2-3-2-4表 控訴審罪名別終局処理人員

 控訴棄却が65.1%と最も多く,次いで,取下げ(20.6%),破棄自判(13.9%)の順であった。
 高等裁判所における破棄理由を見ると,破棄人員総数1,285人中,判決後の情状によるものが805人と最も多く,次いで,量刑不当(278人),事実誤認(129人)の順であった。破棄自判の結果,第一審の裁判が覆って無罪となった者は,22人(控訴審終局処理人員の0.2%)であった(司法統計年報による。)。
 平成16年において,検察官が第一審の無罪判決を不服として控訴した30人の被告人のうち23人については,第一審判決が覆されて有罪となっている(検察統計年報による。)。
 平成16年に言い渡された控訴審判決に対する上告率は,39.4%であり,第一審の終局裁判に対する控訴率よりも高い。
 平成16年における最高裁判所の上告事件の終局処理人員は,2,965人であり,その内訳は,上告棄却2,239人(75.5%),取下げ710人(23.9%),公訴棄却11人,破棄自判1人及び破棄差戻し4人であった(司法統計年報による。)。