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 平成17年版 犯罪白書 第1編/第4章/第1節/2 

2 刑法犯・特別法犯

 暴力団構成員等による一般刑法犯及び特別法犯(道路上の交通事故に係る危険運転致死傷及び交通法令違反を除く。以下,本項において同じ。)の検挙人員の推移(最近30年間)は,1-4-1-3図のとおりである。
 検挙人員は,平成元年以降3万人台で推移していたが,16年は2万9,325人(前年比4.0%減)であった。このうち暴力団構成員は,9,180人(同9.2%減)であった。

1-4-1-3図 暴力団構成員等の一般刑法犯・特別法犯検挙人員の推移

 平成16年における一般刑法犯及び特別法犯の主要罪名別検挙人員に占める暴力団構成員等の人員は,1-4-1-4表のとおりである。
 暴力団構成員等の検挙人員は,一般刑法犯が1万9,472人(前年比3.9%減),特別法犯が9,853人(同4.2%減)であった。暴力団構成員等が占める比率が高い罪名は,一般刑法犯では,賭博(58.9%),逮捕監禁(54.3%),恐喝(39.8%)及び脅迫(35.1%)であり,特別法犯では,自転車競技法違反(88.0%),競馬法違反(85.3%),覚せい剤取締法違反(44.5%)及び職業安定法違反(41.3%)である。
 また,暴力団構成員等の検挙人員を罪名別に見ると,覚せい剤取締法違反が5,412人(暴力団構成員等の検挙人員総数の18.5%)と最も多く,次いで,傷害4,319人(同14.7%),窃盗3,265人(同11.1%),恐喝2,808人(同9.6%)の順であった。

1-4-1-4表 主要罪名別検挙人員に占める暴力団構成員等の人員


●指定暴力団(P51)
 暴力団対策法の規制対象となる団体には,指定暴力団と指定暴力団連合とがあり,両者を併せて指定暴力団等といいます。ただし,平成16年12月31日現在で指定を受けている24団体は,すべて指定暴力団です。都道府県公安委員会は,一定の要件に該当する暴力団について,公開による意見聴取を行い,国家公安委員会の確認を求めるなど所定の手続を経た上で,この指定を行います。

●中止命令(P51)
 暴力団対策法は,所属する指定暴力団等の威力を示して金品等の供与を要求する暴力的要求行為など,従来の刑罰法令には触れない幾つかの行為を禁止しています。都道府県公安委員会は,そのような行為をしている指定暴力団等の暴力団員に対して,その行為の中止を命じ,又はその行為の中止を確保するために必要な事項を命ずることができます。これが中止命令であり,この命令に違反した者は,懲役や罰金の刑に処せられます。
 なお,平成9年の一部改正により,指定暴力団等に所属している者以外で,指定暴力団等と一定の関係にある者が,その威力を示して金品等の供与を要求すること等も,準暴力的要求行為として規制され,中止命令の対象に含まれるようになりました。

●再発防止命令(P51)
 都道府県公安委員会は,指定暴力団等の暴力団員が,暴力団対策法で禁止されている行為をし,更に反復して類似の行為をするおそれがあると認めるときは,1年を超えない範囲で期間を定め,その行為を防止するために必要な事項を命ずることができます。これが再発防止命令であり,この命令に違反した場合も,懲役や罰金の刑に処せられます。また,平成9年の一部改正により,準暴力的要求行為も,再発防止命令の対象に含まれるようになりました。