前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和39年版 犯罪白書 第三編/第一章/六/1 

六 暴力犯罪受刑者の実態と処遇

1 暴力犯罪受刑者の収容状況

 暴力犯罪を犯して昭和三七年中に全国刑務所に新たに収容された暴力犯罪受刑者は九,五四九人であって,これは同年中の全新受刑者の二六・五%にあたっている。これを罪種群別にみると,数の上で最も多いものは粗暴犯罪受刑者群で六,〇四七人(六三・三%),ついで性暴力犯罪受刑者群一,二九二人(一三・五%)財産暴力犯罪受刑者群一,二六七人(一三・三%),生命暴力犯罪受刑者群九四三人(九・九%)の順となっている。これはさきに述べた暴力犯罪者検挙人員とだいたい軌を一にしているが,受刑者の方が粗暴犯罪以外のものの構成比率がやや高くなっている。
 最近一〇年間の傾向をIII-47表およびIII-1図でみると,まず総数の上では昭和三四年をピークとして上昇してきたものが一時下降し,最近ふたたび上昇の気配をみせている。これを罪種群別にみると,生命暴力群は総数の傾向と同じく,昭和三四年をピークとして一時下降しふたたび上昇してきており,昭和二八年を一〇〇とした場合昭和三七年において一六二の指数を示している。財産暴力犯罪群は昭和三一年をピークとして,その後漸減の傾向にあり,昭和三七年には指数の上では六五となり,順位の上でも三位に転落している。性暴力犯罪群は昭和三四年に急激に増加して以来,横ばいまたは上昇を示し,昭和三七年には指数の上で三三六,順位の上で二位となるにいたっている。粗暴犯罪群は順位の上で毎年一位を保ち続けているばかりでなく,年次によって若干の起伏はみられるにしても,おおむね累年上昇の一途をたどってきており,昭和三七年には指数の上で一六三と一〇年間の最高を示している。このように,暴力犯罪受刑者は財産暴力犯罪受刑者を除いては,全体としての増勢が明らかであり,とくに新受刑者総数に対する暴力犯罪新受刑者の構成比率の面からは,累年上昇の傾向を示していることが注意される。すなわち,昭和二八年に一三・〇%であった構成比率は累年例外なく増大し,昭和三七年には二六・五%と二倍以上の増加を示すにいたっている。

III-47表 暴力犯罪新受刑者の最近10年間の推移(昭和28〜37年)

III-1図 暴力犯罪新受刑者の最近10年間の推移(昭和28〜37年)