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 平成16年版 犯罪白書 第2編/第3章/第1節/1 

第3章 裁判

第1節 概説

1 裁判所

 刑事事件の第一審は,原則として,地方裁判所,簡易裁判所又は家庭裁判所で行われ,第一審判決に対する控訴は高等裁判所が,控訴審判決に対する上告は最高裁判所がそれぞれ裁判権を有する。
 地方裁判所は,第一審の原則的な裁判所であり,罰金以下の刑に当たる罪(海洋汚染防止法等による一定の罪を除く。),家庭裁判所の専属管轄に属する罪及び高等裁判所が第一審の裁判権を有する罪を除き,第一審の裁判権を有する。
 簡易裁判所は,家庭裁判所の専属管轄に属する罪を除いて,[1]罰金以下の刑に当たる罪,[2]選択刑として罰金が定められている罪(公害犯罪処罰法による罪を除く。),[3]常習賭博罪,賭博開張等図利罪,窃盗罪,同未遂罪,横領罪及び盗品等に関する罪について第一審の裁判権を有する。簡易裁判所は,原則として禁錮以上の刑を科することはできないが,[3]に掲げる罪のほか,一定の罪については,3年以下の懲役を科することができる。
 家庭裁判所は,少年の保護事件の審判を行うほか,少年の福祉を害する成人の刑事事件で少年法(昭和23年法律第168号)が定めるもの(児童福祉法等による一定の罪)について,第一審の裁判権を有する。
 高等裁判所は,地方裁判所,家庭裁判所又は簡易裁判所の判決に対する控訴及びこれらの裁判所の決定・命令に対する抗告(最高裁判所の権限に属する抗告を除く。)について裁判権を有するほか,内乱に関する罪(東京高等裁判所は更に独占禁止法による一定の罪)について第一審の裁判権を有する。
 最高裁判所は,上告及び法律で特に定められている抗告について裁判権を有する。
 地方裁判所及び家庭裁判所における第一審の裁判は,通常の公判手続によって行われ,簡易裁判所における第一審の裁判は,通常の公判手続又は略式手続によって行われる。