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 平成16年版 犯罪白書 第1編/第1章/第7節/2 

2 ハイテク犯罪対策

 各種のコンピュータ及びコンピュータ・ネットワークは,今や我々の生活にとって欠くことのできない社会的基盤としての役割を果たしている。それに伴い,コンピュータ・ネットワークを利用した犯罪も多様化し,種々の対策が必要となっているほか,電気通信に関する秩序そのものの維持を図る必要性も大きくなっている。
 このような実情を踏まえて,我が国でも,平成11年に児童買春・児童ポルノ禁止法,不正アクセス禁止法などが制定されたほか,13年には,クレジット・カードのデータの不正取得や偽造などに対処するため,刑法の一部を改正する法律(平成13年法律第97号)により,支払用カード電磁的記録に関する罪が新設され(同年7月施行),15年には,インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪による児童の被害を防止するため,インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成15年法律第83号)が制定された(同年9月,一部同年12月施行)。
 また,コンピュータ・ネットワークを利用すれば,国境を越えて犯罪を行うことが容易になることから,ハイテク犯罪対策については,様々な国際的な取組が行われている。2001年に欧州評議会において,世界初の包括的なコンピュータ犯罪対策条約であるサイバー犯罪に関する条約が採択され,我が国も同条約に署名し,同条約は,平成16年4月にその締結について国会により承認された(第2編第6章第1節3参照)。
 さらに,ハイテク犯罪に対処するとともに,サイバー犯罪に関する条約を締結するため,平成16年第159回国会において,不正指令電磁的記録作成等の行為についての処罰規定及び電磁的記録に係る記録媒体に関する証拠収集手続の規定の整備等を内容とする犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案が提出された。