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 平成15年版 犯罪白書 第4編/第2章/第6節/1 

第6節 少年の更生保護

1 概説

 少年に対する保護観察には,保護処分によるものと刑事処分によるものとがある。
 保護処分による保護観察には,[1]家庭裁判所の決定により保護観察に付された者(保護観察処分少年)に対するものと,[2]家庭裁判所の決定により少年院に送致された後に,地方更生保護委員会の決定により仮退院を許された者(少年院仮退院者)に対するものとがある。少年院からの仮退院は,在院者が処遇の最高段階に達し,保護観察に付すことが本人の改善更生のために相当と認められるとき,又は,処遇の最高段階に達していなくても,本人の努力により成績が向上し,保護観察に付すことが本人の改善更生のために特に必要であると認められるときに,許可される。仮退院の申請に対する地方更生保護委員会での許否の状況を見ると,棄却される例は少なく,平成14年では,許可人員は5,852人(前年より43人増加)で,棄却されたのは1人(前年も同じ。)のみである(巻末資料2―12参照)。
 少年を対象とする,刑事処分による保護観察には,[3]実刑(刑期に関する少年特有の制度として不定期刑がある。第2章第1節参照)に処せられた後に,地方更生保護委員会の決定により仮出獄を許された者(仮出獄者)に対するものと,[4]刑の執行を猶予され,保護観察に付された者(保護観察付き執行猶予者)に対するものとがある。平成14年における20歳未満の仮出獄者の保護観察新規受理人員は2人であり,また,不定期刑を受けた少年受刑者(言渡し後に20歳を超えた者を含む。)の仮出獄許可人員は26人(棄却は3人)となっている。20歳未満の保護観察付き執行猶予者の新規受理人員は27人である(保護統計年報による。)。
 少年に対する保護観察のうち,前述のように[3]及び[4]は数が少ないので,本節では[1]の保護観察処分少年及び[2]の少年院仮退院者について述べる。