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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第5章 

第5章 犯罪の国際化と外国人犯罪

 刑事司法の分野における動きの中で,近年,取り上げられることの多い項目の一つとして,外国人による犯罪がある。交通・通信手段の驚異的ともいえる発達を受けて,国際交流の流れは,経済,文化など社会のあらゆる分野において,ここ数年,その速度,流量ともに飛躍的な増大を見せている。この流れの中で犯罪と犯罪者も国際化しており,特に来日外国人による犯罪の増加が我が国の治安に与える影響は無視できないものとなっている。これに加えて,増加する外国人犯罪者をめぐって,事件処理及び処遇の各段階において様々な問題が提起されることとなっている。
 法務総合研究所では,このうち,言語,宗教,生活習慣等の違い等から,種々の制約や障害を伴うことの多い犯罪者の処遇について,有効適切な方策を講ずる上での資料を提供すべく,法務省矯正局及び保護局の協力を得て,昨年,二つの特別調査を実施した。一つは,全国の刑務所で服役している外国人受刑者を対象とするアンケート調査であり,今一つは,外国人保護観察対象者に係わる処遇上の問題点と対応策に関する実態調査である。
 本章では,犯罪の国際化と外国人犯罪をめぐり,第1節では外国人出入国の動向について,第2節では来日外国人による犯罪の動向について,第3節では外国人犯罪者の処遇について,第4節では前記の外国人受刑者を対象とする特別調査の結果について,第5節では同じく外国人保護観察対象者に関する特別調査の結果について,第6節では日本人の国外における犯罪と被害について,第7節では刑事司法における国際協力について,それぞれ述べることとする。