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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第3章/第3節/3 

3 ドイツ

(1) 交通現況

 1990年から1999年までの間の,ドイツにおける,交通事故の発生件数及び死傷者数は,IV-16表のとおりである。

IV-16表 交通事故の発生件数及び死傷者数

 旧ドイツ民主共和国分を含む形となった1991年以降,事故発生件数及び負傷者数はほぼ横ばい,死亡者数は漸減となっている。1994年から1999年までの登録自動車の増加率は我が国の約半分の6.9%であるところ,同時期の我が国の人身事故発生件数,30日以内死亡者数及び負傷者数の増減率は,それぞれ16.6%,-18.8%,19.1%であるのに比べて,ドイツはそれぞれ0.7%,-20.8%,0.9%となっている。なお,1999年の登録自動車台数1万台当たりの死亡者数及び負傷者数は,1.6人,104.7人と,死亡者数は我が国よりも高くなっている反面,負傷者数は低くなっている(巻末資料IV-17参照)。

(2) 法制

 ドイツにおいては,我が国と異なり,交通事故に関し,「業務上」過失致死傷罪や「重」過失致死傷罪の規定がなく,過失により人を死傷させた場合は,刑法に規定する過失致死罪又は過失傷害罪により処罰される。
 過失傷害罪は,親告罪とされ,告訴がなければ訴追されないが,刑事訴追につき特別な公益が存するときは,告訴がなくとも起訴することができる。
 このほか,刑法により,道路交通に対する危害行為,交通における酩酊運転,事故現場から不法に離れる行為等について,また,道路交通法により,無免許運転,運転禁止命令中の運転行為等につき,刑罰を科することとされている。
 なお,自動車運転に関連した犯罪行為等で処罰されることとなった場合には,付加刑として1月以上3月以内の運転禁止を科することができるが,当該犯罪行為から,行為者の自動車運転に関する不適格性が明らかになった場合には,保安処分として,運転免許が取消される。
 一方,駐停車違反,速度違反,信号無視等の交通違反行為は非犯罪化され,秩序違反行為として,秩序違反法(Gesetz uber Ordnungswidrigkeiten)に基づく過料(GeldbuBe)の対象とされている。過料は,後述の警告(Verwarnung)制度が適用されない場合や,違反者が警告に応じない場合に科されるもので,行政官庁により裁定がなされ,違反者が期限内に異議の申立てをしない場合は確定し,違反者が異議の申立てをした場合は,記録が行政官庁から検察官に送付されて裁判所に提出され,裁判所により事実認定がなされて,判決又は決定により過料が科されることとなる。もっとも,行政官庁,検察官又は裁判所は,手続を打ち切ることもできる。過料額は,他に定めがない限り,10マルク以上2,000マルク以下(酒気帯び運転等については,その上限が3,000マルクに引き上げられている。)とされ,また,これに付随して,常習等悪質な義務違反者に対しては,1月以上3月以下の範囲で運転禁止処分を命ずることができるものとされている。違反者が,行政官庁の裁定や裁判所の判決・決定が確定したにもかかわらず,過料を納付しなかった場合には,裁判所は,行政官庁の請求により強制拘束命令を発することができる。
 駐停車違反等軽微な秩序違反行為に対しては,警告制度が設けられ,警察官による警告金(Verwarnungsgeld)なしの警告や,10マルク以上75マルク以下の警告金付きの警告がなされ,警告金を支払えば,過料の手続から免れるが,期限内に警告金を支払わない場合は,上記の過料手続に移行する。
 なお,連邦交通建設大臣は,規則により,過料額や警告金の基準額等に関する基準を定めている。
 IV-17表は,ドイツにおける主要な交通犯罪に対する罰則等を示したものである。

IV-17表 主要な交通犯罪に対する罰則

(3) 処理状況

 1990年から1999年までの間の裁判所における道路交通法違反及び交通関係刑法犯の処理状況は,IV-18表のとおりである。

IV-18表 裁判における確定人員