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 平成13年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/3 

3 裁判所における処理状況

(1) 交通関係業過

 IV-39図は,昭和50年から5年ごと及び最近10年間の通常第一審において,業過により懲役又は禁錮の言渡しを受けた人員について,実刑と執行猶予付きの合計で言渡し刑期ごとの構成比の推移を見たものである。

IV-39図 通常第一審における業過の言渡し刑期別構成比の推移

 業過において懲役・禁錮を言い渡された人員は,実刑と執行猶予付きの合計で見た場合,昭和40年代は毎年1万人前後であったが,50年代から62年にかけて毎年9,000人前後で推移し,以降,おおむね減少傾向を示し,平成9年には4,499人となった。しかし,10年からは再び増加に転じ,11年には5,400人,12年には5,992人となっている。
 これらを刑期別に見ると,2年以上の占める比率が,年々高くなっており,業過に対する言渡し刑期が長期化する傾向にあることが分かる。また,懲役又は禁錮の判決を言い渡された者のうちで実刑を言い渡された者の比率(以下「実刑率」という。)は,平成に入ると15%前後で推移している。
 IV-9表は,平成10年から12年までの間における懲役又は禁錮2年を超える通常第一審の判決があった交通関係業務上過失致死の合計193件について,刑期別に一覧表にしたものである。2年を超える懲役又は禁錮の判決を受けた者は,年を追うごとに総数の増加のみならず,その刑期が長期化していること,実刑率が上昇していることが分かる。

IV-9表 通常第一審における交通関係業務上過失致死の科刑状況

 IV-40図は,通常第一審において業過により罰金の言渡しを受けた者について,罰金額別の推移を見たものである。罰金額の法定刑の上限が平成3年に引き上げられたことと連動して,言い渡された罰金額も上昇しており,過失傷害の罪で罰金の言渡しを受けた者は,12年が162人であり,言渡し人員が最も多い罰金額は30万円以上で,総数の31.5%を占め,次いで,20万円以上(27.2%),10万円以上(23.5%),50万円以上(16.0%)となっている。なお,略式手続によって罰金に処された人員は,11年が7万9,779人,12年が8万6,612人である。

IV-40図 通常第一審における業過の罰金額構成比の推移

(2) 道交違反

 平成12年に通常第一審において,道交違反により懲役の言渡しを受けた者は1万95人(うち実刑1,720人)であり,その刑期別人員を見ると,6月未満が8,587人(85.1%),6月以上1年未満が1,470人(14.6%),1年以上2年未満が37人(0.4%),2年以上3年未満が1人となっている。また,通常第一審において,道交違反により,罰金の言渡しを受けた者は373人であり,略式手続によって罰金又は科料に処された者は78万4,087人である(司法統計年報による。)。