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 平成13年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/5 

5 執行猶予等

(1) 執行猶予

 懲役に対する執行猶予率は,平成5年までは50%台であったが,6年以降は60%台で推移している。禁錮に対する執行猶予率は,懲役に対するものよりも高く,毎年,90%台で推移している。
 また,初度の執行猶予(刑法25条1項)の場合は,同時に保護観察に付するか否かは裁判所の裁量によるが,再度の執行猶予(同条2項)の場合は,必ず保護観察に付される。平成12年における初度の執行猶予人員は4万7,376人(執行猶予確定人員の99.1%)で,うち保護観察に付された者は5,206人(同10.9%)である。また,再度の執行猶予人員は452人(同0.9%)である(検察統計年報による。)。

(2) 執行猶予の取消し

 II-10表は,最近5年間における,執行猶予取消人員を取消事由別に見たものである。

II-10表 取消事由別執行猶予取消人員

 取消人員は,平成12年には,前年より964人(18.1%)増加して6,301人となっており,取消事由は,再犯により禁錮以上の刑に処されたことによるものが93.0%と圧倒的に多数を占めている。
 なお,ある年次における執行猶予確定人員と,その年次における執行猶予取消人員とでは,その対象が異なるので,前者に対する後者の比率は,厳密な意味での執行猶予取消率とは言えないが,執行猶予取消しのおおよその傾向を知るため,この比率を算出すると,執行猶予取消率及び保護観察付き執行猶予者の再犯による取消率は,それぞれ13.2%,26.1%となっている。これを罪名別(執行猶予確定人員総数及び保護観察付き執行猶予確定人員がいずれも100人以上のものに限る。)に見ると,執行猶予取消率は,覚せい剤取締法違反(23.4%),窃盗(22.0%)等で高く,保護観察付き執行猶予者の再犯による取消率は,窃盗(34.3%),覚せい剤取締法違反(30.0%)等で高い。