前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成11年版 犯罪白書 第4編/第3章/第3節/2 

2 裁判所における処理状況

 IV-18図は,最近10年間について,地方裁判所・簡易裁判所による通常第一審における外国人事件(外国人が被告人となった事件をいう。以下,本項において同じ。)及び通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員の推移を見たものである。

IV-18図 外国人事件及び通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員の推移

 外国人事件及び通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員は,近年,いずれも増加傾向が続いていたが,平成10年は,前年よりやや減少した。10年の通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員は,有罪人員総数の10.6%,外国人事件の有罪人員の85.4%を占めている(最高裁判所事務総局の資料による。)。
 平成10年の地方裁判所・簡易裁判所による通常第一審における通訳・翻訳人の付いた外国人被告人の言語別終局人員の構成比を見ると,中国語が総数(7,159人)の39.4%を占めて最も高く,以下,韓国・朝鮮語(11.1%),タガログ語(9.3%),ペルシャ語(8.9%),タイ語(7.2%),スペイン語(5.5%),英語(3.5%),ウルドゥー語(2.9%)等となっている。
 平成10年の地方裁判所・簡易裁判所による通常第一審における通訳・翻訳人の付いた外国人事件の科刑状況は,無期懲役3人,有期懲役7,102人,有期禁錮11人,罰金16人となっている。
 さらに,通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有期懲役・禁錮の刑期別人員を,日本人が被告人となった事件と比較して見たものがIV-7表である。

IV-7表 通訳・翻訳人の付いた外国人被告人の刑期別人員

 通訳・翻訳人の付いた外国人事件における執行猶予率は87.6%で,懲役に対するものが87.9%,禁錮に対するものが90.9%となっている。なお,日本人が被告人となった事件における執行猶予率は60.6%で,懲役に対するものが59.1%,禁錮に対するものが93.9%である(最高裁判所事務総局の資料による。)。