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 昭和38年版 犯罪白書 第三編/第一章/二/4 

4 累犯少年の増加

 少年刑法犯検挙人員中で犯罪または非行の前歴のある者は,昭和三六年には四三,九八五人で,全数の二七・七%を占めている。すなわち,犯罪少年のうちの三割近くは,なんらかの形で犯罪または非行経験のある累犯少年であるということを示している。これを最近六年間の傾向でみると,III-5表に示すように,前歴を有する者の検挙数は累年増加の一途をたどり,六年間に一二,八〇九人と,四割近い増加率を示すにいたっている。しかし全検挙人員中に占める割合という点では,むしろ前歴のある者の率は漸減している。これは犯罪少年が全体的に著しく増加しているため,累犯少年はその割合には増加していないことを物語るものであるが,累犯少年の絶対数の増加傾向を否定するものではない。

III-5表 少年刑法犯検挙人員中前歴のある者の割合(昭和31〜36年)

 さらにまた,一部の犯罪性の進んだ少年たちが,ますます悪質化しているという事実も看過することはできない。たとえば,少年院に入院してくる少年の少年院入院経歴についてみると,再度以上の入院者が,昭和三二年には二〇・七%であったが,その後年々増加し,昭和三六年には二三・四%となってきているのである。これは一度犯罪をおかした少年が,容易に再犯をおかす危険性があることを示唆しており,再犯の予防ということが,あらためて真剣に取り上げられなければならない段階にきていると考えられる。