前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和38年版 犯罪白書 第二編/第三章/一/10 

10 新受刑者の罪名別

 新受刑者の罪名別構成比率をみると,II-62表に示すように,昭和三六年においては,例年に比し,刑法犯がわずかながら減少し,特別法犯が増加している。しかし,刑法犯の占める割合は圧倒的に多く九三・一%(三四,七二五人)で,特別法犯は六・九%(二,五六〇人)を占めるにすぎない。

II-62表 新受刑者の罪名別人員の比率(昭和31〜36年)

 次に,刑法犯の内訳をみると,窃盗が新受刑者総数の半数以上(五一・三%)を占め,詐欺(九・三%),傷害(七・九%),恐かつ(六・三%)がこれに次いでいる。このように,構成比率の面からみると,最近,窃盗,詐欺,強盗,横領は,いずれも減少の傾向を示し,ことに窃盗の減少が目だっている。これに対し,恐かつ,傷害,殺人,わいせつ・かんいんは,いずれも増加している。しかも,これらの比率の増加している犯罪は,新受刑者の総数が減少しているにもかかわらず,その実数の面では,ほとんど変わらないか,あるいは増加している点が注目される。
 特別法犯では,麻薬取締法違反(新受刑者総数の二・九%),売春防止法違反(一%),「暴力行為等処罰ニ関スル法律」違反(〇・八%)などが目だち,実数においても,逐年増加している点が注目される。