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 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第3章/第2節/1 

1 殺  人

 殺人の認知件数,検挙件数及び検挙人員の推移は,I-5図のとおりである。(巻末資料I-4参照)

I-5図 殺人の認知件数・検挙件数・検挙人員の推移

 殺人の認知件数は,昭和20年代前半に急増し,29年に3,081件でピークとなり,その後は増減を示しつつも,長期的に減少傾向を見せ,平成3年に最低の1,215件を記録した。4年以降,漸増に転じていたが,8年には認知件数,検挙件数及び検挙人員は,いずれも前年と比べ減少し,それぞれ1,218件(前年比4.9%減),1,197件(同3.2%減)及び1,242人(同4.1%減)となっている。
 殺人の検挙率は,昭和20年代前半に90%台前半で推移した後は,おおむね96%台から98%台にあり,平成8年は98.3%となっている。また,殺人の発生率は,昭和20年代に上昇し,20年代後半は3.3から3.5の間を推移した。その後は低下が続き,平成8年は1.0となっている。
 なお,殺人の検挙人員について,犯行時の年齢層別構成比を昭和31年から平成8年まで5年ごとに取り上げたものが,I-6図である。

I-6図 殺人の犯行時年齢層別構成比

 殺人の犯行時の年齢層別構成比の推移には,以下のような特徴が認められる(警察庁の統計による。)。
 まず,20歳代の占める比率が,昭和30年代半ばまで50%を超えていたが,その後60年代に入るまで低下し,平成に入ってからは20%台前半で推移している。一方,40歳代以上の占める比率が昭和30年代末から上昇しており,59年には40%を超え,平成2年以降は50%前後で推移している。さらに,平成に入ってからの近年は,各年齢層間での構成比の格差が小さくなってきている。