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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第6章/第2節/3 

3 凶悪事犯少年の動向と特質に関するまとめ

 少年鑑別所及び少年院に収容された凶悪事犯少年について,その動向と特質をまとめると,次のとおりである。
[1] 少年鑑別所新収容人員総数は,昭和60年以降ほぼ一貫して減少を続けているが,凶悪事犯少年は平成に入ってから増加傾向が目立っている。なかでも,5年以降の強盗致死傷事犯少年の増加が著しい。
[2] 少年院新収容者における凶悪事犯少年の年齢層別構成比の推移を見ると,昭和58年以降,中間少年の比率が年長少年の比率を上回ることが多い。
[3] 特別調査の結果では,年齢的には,殺人事犯少年は19歳の者が約半数を占め,強盗致死傷・強盗強姦事犯少年を含む強盗事犯少年は,16歳から18歳の者が約7割を占めている。
[4] 凶悪事犯少年における学生・生徒の比率は,一般事犯少年のその比率をほぼ一貫して上回っている。特別調査の結果では,特に強盗致死傷・強盗強姦事犯少年を含む強盗事犯少年の約3人に1人は学生・生徒である。
[5] 殺人事犯少年は一般事犯少年より共犯率が低いが,強盗・強盗致死傷事犯少年では逆に共犯率が為い。
[6] 殺人事犯少年は一般事犯少年より暴力組織に所属している者の比率が高く,また,強盗・強盗致死傷事犯少年は一般事犯少年より地域不良集団に所属している者の比率が高い。
[7] 特別調査の結果では,凶悪事犯少年中,家庭内が不和であったり父母の離婚を経験したりしている者の比率は,約4割である。
[8] 特別調査の結果では,殺人事犯少年の男子被害者は加害者と同年代の者の比率が高く,女子被害者は40歳代以上の者(実母や祖母)の比率が高い。
[9] 特別調査の結果では,殺人事犯少年の被害者の約3割は内縁を含む親族であり,その中では,父母や祖父母が被害者となる比率が高い。