前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第4章/第5節/1 

第5節 凶悪事犯の実態及び量刑に関する特別調査結果

1 特別調査の概要

 法務総合研究所では,殺人罪又は強盗致死罪により死刑又は無期懲役刑(以下,本節においては「無期刑」という。)の確定判決を受けた者について,その犯行の実態を統計的に調査・分析し,併せて,この種事犯に対する判決の量刑の実情を明らかにするための特別調査を実施した。
 この調査は,いわゆる永山事件第一次上告審判決(昭和58年7月8日第二小法廷判決・刑集37巻6号609。以下「永山一次上告審判決」という。)言渡しの日から平成6年9月30日までの間に,殺人罪(未遂罪を含む。)又は強盗致死罪(強盗殺人罪及び同未遂罪並びに強盗強姦致死罪を含む。)により,死刑又は無期刑に処する判決が確定した者を対象とし(以下,この確定判決の言渡しを受けて本件特別調査の対象とした者を「対象者」という。),上記判決の判決書写しを対象資料とした。ただし,いわゆる連合赤軍事件に係る死刑・無期刑確定者については事件の特殊性等にかんがみて検討の対象から除外した。

III-22表 罪名別死刑・無期刑確定者数

 対象者は合計449人であるが,これを罪名別に見ると,III-22表のとおりである。ただし,死刑又は無期刑が選択された事実の罪名は,殺人既遂罪・強盗致死罪又は強盗強姦致死罪であったので,以下にお゛いては,最も重い刑を選択された事実の罪名により,「殺人」又は「強盗致死」に分類して記述し,強盗強姦致死罪により無期刑に処せられた者1人は,便宜上「強盗致死」に分類した。