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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/1 

第2章 凶悪犯罪の動向

第1節 凶悪犯罪の動向

1 凶悪犯罪の現状

 警察庁刑事局の資料によると,平成7年中の刑法犯(交通関係業過を除く。以下,本節において同じ。)の認知件数,検挙件数及び検挙人員は,前年と比べ,いずれもわずかながら減少した。
 しかし,一方では,銃器を使用した殺人事件や金融機関等を対象とした強盗事件が多発し,オウム真理教関係者らによるとされる毒物使用大量無差別テロ事件などの特異な事犯が相次いで発生するなど,従来,我が国においては見られなかったような異質で凶悪な犯罪が日常身近に発生する状況も見られるに至った。
(1) 殺  人
 平成7年における殺人の認知件数,検挙件数及び検挙人員は,前年と比べ,いずれもわずかに増加し,それぞれ1,281件(0.2%増),1,236件(0.9%増)及び1,295人(1.6%増)となった。刑法犯に占める比率は,それぞれ0.1%,0.2%及び0.4%である。7年における殺人の発生率(認知件数の人口10万人当たりの比率をいう。以下同じ。)は1.0であり,検挙率は,96.5%となっている。欧米諸国と比べると,発生率は極めて低く,逆に高い検挙率を示している(本編第9章参照)。
(2) 強  盗
 平成7年における強盗は,2年以降続いた増加傾向から一転して減少し,認知件数において407件(15.2%)減少して2,277件,検挙件数において218件(10.4%)減少して1,882件,検挙人員において203人(8.6%)減少して2,169人となった。刑法犯に占める比率は,それぞれ0.1%,0.2%,0.7%である。
 7年における強盗の発生率は1.8であり,検挙率は,82.7%である。